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Sound Experience       [コンサートの記憶]

クリスチャン・ヤルヴィ サウンド・エクスペリエンス2017

(プログラム)
クリスチャン・ヤルヴィ:ネーメ・ヤルヴィ生誕80年のためのコラール(日本初演)
フランチェスコ・トリスターノ:ピアノ協奏曲「アイランド・ネーション」*(日本初演)
                     Ⅰ ベル・オンブル
                     Ⅱ ジ・アイランダーズ
                     Ⅲ オパ!

ワーグナー(デ・フリーヘル編):オーケストラル・アドヴェンチャー≪ニーベルングの指環≫


クリスチャン・ヤルヴィ[指揮]
フランチェスコ・トリスターノ[ピアノ]*
新日本フィルハーモニー交響楽団


                (写真はweb上からお借りしました&後半の感想はパスです)



Korale for 80 (dedicated to Neeme Järvi)

弦楽のアンサンブルが静かにはじまる
なめらかに 優しく
柔らかであたたかく
包容力のあるハーモニー

少しずつリズムがきざまれ
やがて管楽器が
弦楽器と呼び交わすように歌い出す

繊細なパルスのうえで
きらめきながら踊る旋律。。



クリスチャン・ヤルヴィが指揮者である父の
80才の誕生祝いに作曲された作品は
音楽一家のヤルヴィ家を彷彿とさせる
愛に満ちた美しい音楽。

父上はこれを聴いて どんなに喜んだことか!
想像すると胸が熱くなる。

ちなみに「コラール」の綴りは Choral だが、
自分のイニシャルのKを使って、父への愛情を強調したそうだ(プログラムより)。




ステージの中央にピアノが運び込まれる。
いよいよ、フランチェスコの登場!






'17Novフランチェスコ1a.jpg




Piano Concerto "Island Nation"
      
   
Ⅰ Bel Ombre
弦のピチカートが夜明けを告げる
眠りから覚める混沌として秩序のない世界
ビルディングやアスファルトに反響する街の喧騒
朝日の中を歩き続ける
スニーカーのかかとに
ずっと同じ歩調でついてくる影
いつも寄り添ってくれる影。。



Ⅱ The Islanders
オーケストラに同調していたピアノが
クリック音とともにソロを奏でる
くり返すベース
リズムセクションが加わる
それは
さいはての孤島で
遠い昔から守られてきた儀式
ほら、海の波がゆれる
水滴がはじけ
光のなかにとけていく
まるで白昼夢のように。。




Ⅲ Opa!
あかあかと燃えさかる篝火
祝祭のダンス
激しく地面を踏みならし
雄壮な若者たちの雄叫びが轟く
オーディエンスも ともにクラップを打ち
熱狂が頂点に達した瞬間
音楽は切って落とされる!




'17Novフランチェスコ2a.jpg




フランチェスコの新作の日本初演は喝采で迎えられました。
彼とクリスチャン・ヤルヴィは、音楽性にとても共通するところがあり、
特にリズムの感じ方という点は一心同体のように思えるのです。



昨年、この曲の世界初演を(二人の演奏で)ネット配信で聴いた時
ぜひともナマで体験したいと強く思ったので、
こんなに早く実現したのは本当に嬉しい驚きでした。
まさにエクスペリエンス(体験)!
でもね、去年のオケはMDRライプツィヒ放送響だったのだけど
これがもの凄くノリが良くて、全員が楽しんで弾いていたのよ。
パーカッションもカッコ良かったし!
今回はね~、せめてPrc.は「その道の人」のが聴きたかったかなw



フランチェスコのソロ・アンコールは2曲。

パストラル
ラ・フランシスカーナ



またピアノの音色に磨きがかかったなあ。。

































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Purcell Project 2017        [コンサートの記憶]

パーセル・プロジェクト2017  オードとアンセム 声楽芸術の結晶
                           ~Hakuju Hall


(プログラム)
Henry Purcell(1659-1695)


Behold, I bring you glad tidings Z.2 (見よ、私は幸福な知らせをもたらそう)
O give thanks unto the Lord Z.33  (おお、主に感謝を捧げよ)
Who hath believed ourreport Z.64  (誰が私達の知らせを信じてくれたろうか?)

Pavan in G minor Z.752      (パヴァーヌ ト短調)
Chacony in G moinor Z.730     (シャコンヌ ト短調)
Save me, O God Z.51       (おお主よ、私をお救い下さい)
From hardy climes Z.325      (厳しい天候を戦場の危難から)

(アンコール)
O sing unto the Lord Z.44     (主に向かって新しい歌を歌え)


ソプラノ: 澤江衣里 藤崎美苗
アルト: 青木洋也 布施奈緒子
テノール: 石川洋人 中嶋克彦
バス: 藤井大輔 加耒 徹

ヴァイオリン: 宮崎蓉子 廣海史帆
ヴィオラ: 中島由布良
チェロ: 西沢央子
オルガン: 山縣万里



'17Octパーセル2.jpg



17世紀イングランドの音楽は
ふくよかな黄金色の響き

オルガンと弦楽の柔らかな合奏
縦横無尽に駆け巡る歌い手たちの
艶やかな歌声と確かなアンサンブルに心が奪われる


たとえばソプラノのふたり
そしてアルトとテノールが寄り添って動くと
声質がぴったり合っていて
まるで双子のよう!

それは
オルガンとチェロの優雅なバスも同様で
なんだか ある一族の宴に見えてくる

同じ言葉でしゃべる
気の置けない会話
そして
小さい時から聴き覚えた 
古い歌を口ずさむような。。





'17Octパーセル1.jpg




青木洋也さんの指揮と器楽の華やかな演奏で始まった1曲目、
客席のサイドの扉から歌手たちが登場してステージへ。
藤井大輔さんのバスが朗々と歌い上げた後、合唱に。
パーセルがかいた、唯一のクリスマスの曲。
高らかに歌い上げられる
"Glory to God on high
and on earth, peace..."


ヘンリー・パーセルはイングランドの作曲家なので、全ての歌詞は英語で歌われます。
17世紀らしく、古い英語も使われているのでしょうか。
後半で演奏された "Save me,O God" は、
ヘンデルの「メサイア」の前半の歌詞と同じだそうです。
つまり、聖書や祈祷書の言葉が歌詞になっている教会音楽を
パーセルは多数かき残しました。

パーセル・プロジェクトは、それらを全て演奏しようという壮大なものです。
2009年のパーセル生誕350年を記念して発足したプロジェクトは、まだ道半ばといいます。

でもね、長くやってくれると
私のように漸く予定が合って聴ける人もいるのです♬

今回の曲は歌い手それぞれのソロと合唱の両方を聴けて、とても楽しめましたよ。
しかし、ソロはパートを無視したように広~い音域でかかれていて
これを歌いこなす歌手の皆さんの力量に圧倒されましたです。

特にカウンターテナーの青木洋也さんは声域が広がったのでしょうか。
声に柔らかさが増して、さらに美しくなった印象。
そしてバリトンの加耒 徹さんの、空気をビリビリと震わせる声には
聴くたびに驚きと感動でドキドキしてしまいます。
加耒さんは、このプロジェクトが古楽をやる1つのきっかけになったそうです。
そんなふうに良い仲間に恵まれて
プロジェクトはきっと最後まで走り続けることでしょう。




























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0才まえのコンサート      [コンサートの記憶]

第170回 0才まえのコンサート ママのおなかは特等席

                 ~Hakuju Hall

牛田 智大(ピアノ)

(プログラム)
J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻より 第3番 嬰ハ長調 BWV848
ショパン:ノクターン 第17番 ロ長調 Op.62-1
エルガー:愛の挨拶
プーランク:愛の小径
ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
プーランク:即興曲 第15番「エディット・ピアフを讃えて」
シューマン / リスト編:献呈

リスト:愛の夢 第3番
シューマン:「こどもの情景」より トロイメライ
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲Op.43より 第18変奏
ショパン:バラード 第1番 ト短調 Op.23
ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調「英雄」 Op.53

(アンコール)
ショパン:プレリュード Op28-7 イ長調


'17Oct牛田2.JPG




素直であたたかな音色
それはまるで春のそよ風
決して荒ぶることはない

けれど速いパッセージは
鱗をきらめかせてジャンプするトビウオのよう!

耳なじみのある曲が
ピチピチと新鮮な音楽になって
聴く者をときめかせる。。



'17Oct牛田1.jpg




「0才まえのコンサート」は公益財団法人ソニー音楽財団(Sony Music Foundation)が開催しており、
今回で170回目だそうです(凄!
妊婦さん対象の演奏会なので、トーク付きで楽しんでもらおうという趣旨です(一般も入場可)。
おかげで牛田くんの幼少の頃のお話しも聞けてラッキーでした。

プログラムもリラックスしてもらおうと名曲を選んだ牛田くん。
耳なじみのある曲は却って演奏が難しいのですが
彼はとても真摯に、それぞれの曲の良さを最大限に引き出していて素晴らしかった!

特に、後半トークなしで3曲続けて演奏された
リスト~シューマン~ラフマニノフの流れが素晴らしく
「パガニーニ~」は目頭が・・・。
すごい集中力だったバラードにも惹き込まれ
さらに!
「英雄ポロネーズ」ってこんなに良い曲でしたっけ?!w



あと数日で18才だという牛田くん。
本当に幼少の頃から活躍しているので、まだ17才か~!とビックリ。

現在ロシアに留学中ということなので
スケールの大きなピアニストになってほしいと願わずにはいられません。






















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RAY CHEN × BACH      [コンサートの記憶]


レイ・チェン 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
              ~サントリーホール

(プログラム)
J.S.バッハ:
ソナタ第1番    ト短調 BWV1001 アダージョ・フーガ・シチリアーナ・プレスト
パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002 アルマンドードゥーブル・クーラントードゥーブル・
                   サラバンドードゥーブル・ブーレードゥーブル
ソナタ第2番    イ短調 BWV1003 グラーヴェ・フーガ・アンダンテ・アレグロ


パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006 プレリュード・ルール・ロンド風ガヴォット・
                   メヌエットⅠⅡ・ブーレ・ジーグ
ソナタ第3番    ハ長調 BWV1005 アダージョ・フーガ・ラルゴ・アレグロアッサイ
パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004 アルマンド・クーラント・サラバンド・ジーグ・シャコンヌ





緻密にかかれた楽譜が
ドラマを観ているように生き生きと動き出す

たった4本の弦で弾いていると思えない
万華鏡のような音色と 
ダイナミクスの変化の素晴らしさ

確固たる信念が感じられる構成力は
聴く者の心をつかんで離さない。。



'17Sepレイ・チェン.jpg





J.S.バッハがかいた無伴奏ヴァイオリン曲は
全曲がソナタとパルティータの組み合わせになっている。
レイ・チェンは第1番はそれを順に演奏し、第2番のソナタまで演奏して前半を終えた。
後半は逆順で第3番のパルティータ、ソナタ。
そして第2番のパルティータを最後においた。

こうして聴くと、プログラム全体が意味深いものになる。

前半のストイックで求道者のような音楽。
それは決して停滞しているということではなく
むしろ歩をゆるめることなく進んでいく若々しい感覚に
とても好感が持てる。

そして後半は第3番の溌剌としたプレリュードからスタートし
明るく闊達な演奏が繰り広げられていく。

本当に、レイ・チェンのテンポ設定は見事!
たとえば 全体を俯瞰し台詞を割り当てたようだ。
そして彼は最高の舞台で役者をつとめる。
その一人芝居は
言葉のイントネーションや緩急、強弱を自在に操り
私の心にダイレクトに届く。

語るように音楽を紡ぎ出せるのは
おそらく彼のボウイングのためだろう。
弓の扱いの素晴らしさに目を奪われる。

そして終曲は圧巻のシャコンヌ!
これは まさに天からの啓示。

プログラムは
この曲に到達するための道のりであったことを
私は悟った。。





'17Sepレイ・チェン2.jpg
                       (この写真はweb上からお借りしました)















レイ・チェン(1989年生まれ)を知ったのは、
2009年のエリザベート王妃国際音楽コンクール(世界最難関!)でした。
ストリーミング配信で聴いた彼の演奏は本当に衝撃的。
コンクール史上、最年少で優勝したのは納得でした。
その後、何度か来日していましたが 私は聴く機会を逃していたのです。

この夏、私が敬愛するダニエル・ホープさまが「レイ・チェンのVTRに出演したよ」
とシェアしたのが この動画です~。


Ray Chen Comedy vids Vol. 2




えー!!
レイ・チェンってこんな人だったの?とビックリ。
勝手にもっとカタブツな人かと思ってました。
あー、これはリサイタル聴かなきゃ!!(すごい動機w)


でも、バッハの無伴奏全曲を一夜で演奏するというのは
いかに天才でも大変だったことでしょう。
リサイタルの最後にアンコールは無しです、とお話しして「お許し下さい」とも。
彼の人柄が伝わってきて、好感度さらにアップでした~♬






日本では大阪と東京でリサイタルがあり、ファンからのプレゼントも♡
こういう動画を作っちゃうんですねwww

プレゼント開封の儀式 ↓↓

https://www.facebook.com/raychenviolinist/videos/1647869965276418/







レイ・チェンには 人を惹きつける天賦の才があります。
それは単にポジティヴなオーラだけではなく、
繊細で思いやりのある人柄が感じられるから。
それが、彼の音楽ににじみ出ているから。。


























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Vespro    [コンサートの記憶]


バッハ・コレギウム・ジャパン
モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》
          ~オペラシティ コンサートホール


指揮:鈴木雅明

ソプラノ:ソフィ・ユンカー、松井亜希
アルト:青木洋也
テノール:櫻田 亮、谷口洋介、中嶋克彦
バス:シュテファン・フォック、加耒 徹

コルネット&トロンボーン:コンチェルト・パラティーノ

合唱と管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン








男声ソロが高らかに呼びかけると
それに応えるようにオーケストラのトゥッティが華々しく始まる。
所々に「オルフェオ」のトッカータ。

煌めく管楽器。
そしてバランスのとれた合唱。

400年以上も昔にかかれたとは思えない
生き生きとした音楽が
落差の大きい滝のように降りそそぐ!

これでもかと鳴り続ける保続音が途絶えると
付点のリズムが柔らかく跳ねる。

祈りは祭りの中にこそある。
人々の喜怒哀楽が
そのまま歌になり、リズムになる。。







'17Sep BCJモンテヴェルディa.png





今年はモンテヴェルディ生誕450年ということで
BCJも18年ぶりに この作品を再演してくれました。

管楽器にコンチェルト・パラティーノから数名のメンバーが参加し
ホーンセクションが盤石に。
コンマスは寺神戸さん、
そしてコンティヌオチームも最強です♬
なんといっても 
大塚直哉さんのチェンバロと優人さんのオルガンが同時に聴けるなんて
滅多にありませんから~♡

声楽のソリストたちも素晴らしく
また合唱は重厚な音楽なのに決してもたれることなく
それぞれの声部がクリアに聴こえます。
それはノン・ビブラートのおかげでしょうか。




祝祭的な色合いの強い作品という印象ですが
もしかしたら作曲者は
愁いや哀しみを
華やかな音楽の後ろに隠していたのかもしれません。。






'17Sep BCJモンテヴェルディ.jpg
                (この写真はweb上からお借りしました)




















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Kit ARMSTRONG      [コンサートの記憶]

キット・アームストロング  ピアノ・リサイタル
                 ~すみだトリフォニーホール 大ホール


(プログラム)
バード:ヒュー・アシュトンのグラウンド
スウェーリンク:我が青春は過ぎ去りし
ブル:ウォルシンガム変奏曲

J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

(アンコール)
バード:オックスフォード伯爵の行進曲
リスト:クリスマスツリーより第9曲「夕べの鐘」


'17Aug Kit.jpg



少年のような、あどけない顔立ち。
姿勢良く、早足で登場すると
にこにこと親しみやすい笑顔を客席に向け おじぎをする。

しかし いったんピアノに向かうと
様子が一変する。

そこにいるのは まさに真の音楽家!




ウィリアム・バード、スウェーリンク そしてジョン・ブルは
ともに1500年代半ばに生まれた作曲家たち。
当然、彼らはチェンバロやオルガンで曲を作った。
それを どんなふうにピアノで弾くのか。
私の興味はそこにあったのだが
期待をはるかに超えた凄まじい演奏に
ただただ驚くばかり。

凄まじいというのは大げさに聞こえるかもしれないけれど
本当にすごかったのだ!

キットはポリフォニーの各声部を隅々まで把握していて
とても美しく、歌うように弾く。
それぞれの声部の音色を弾き分けるのが巧みで
全てのフレーズが それはそれは綺麗に聴こえてくる!

そして息を長く使うので、見通しの良い音楽がとても爽やか。
一点の曇りもない なめらかなガラスのように。

キットは数学の学位を持っているくらいだから
本当に頭が良いのだろう。
理知的な頭脳で分析された音楽の説得力は絶大だ。
ところが、頭の良い人の演奏は時によそよそしい事がある。
けれど キットの演奏は全く逆。

まるで いにしえの作曲家と交信しているかのよう。
そしてトランス状態に陥ったかと思うくらい
熱い、熱いパフォーマンスを繰り広げる!
ダイナミックに、情熱的に。
ああ なんて超絶なタッチだろう!



                     (以下の写真はweb上からお借りしました)

'17Aug Kit2.jpg





さあ、後半はゴルトベルク。

これも本当にさまざまな音色を使い分けて、素晴らしい演奏。
繰り返しなし、アタッカで次々に弾かれる変奏曲。
あ、これはカンタータ。
これはオルガン曲、そしてこれは協奏曲!
バッハの様々な作品を彷彿とさせる演奏に
心ときめかせて聴き入る。
愁いをおびた緩やかな曲。
躍動感という言葉を使うのも躊躇するほど闊達な曲。。

ほんとうに、キットの世界に惹き込まれて
会場は息をするのも忘れてしまったよう!
演奏者も聴衆も すごい集中力。

だから
曲の最後にキットが音の行方をあやすように鍵盤から手を離し
ゆっくりと膝に置くまで
会場は静寂につつまれていた。
ああ 何という幸せな瞬間!




'17Aug Kit3.jpg




キット・アームストロングはフランスの古い教会に住んでいて
そこで音楽活動をしているそうです。
いつか、そこで彼が弾くオルガンやチェンバロも聴いてみたいなあ。。


ほら またひとつ 夢がふえましたよ。




































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Life With You        [コンサートの記憶]

Salt(ソルト)こと塩谷哲さんのピアノを本当にひさしぶりに聴いた。
この前コンサートに行ったのは、いつだったろう?
思い出せないくらい前。。

'17Aug Salt.jpg



プログラムの1曲目はオーケストラだけの曲。
せっかくフルオケの配置になっていたのに、ここでピアノが登場するので全員退席。
小編成のアンサンブルで

ショスタコーヴィチ/ジャズ組曲 第1番

ピアノ、管楽器、マリンバの他にバンジョーとハワイアンギターが入って
なんだか昭和な雰囲気の劇伴みたいな曲w

さて、ピアノが中央に設置され
いよいよコンチェルト!フルオケです~。




チック・コリア/ラ・フィエスタ



イントロはピアノ・ソロ。
ころころと転がるような軽やかなフレーズ。
もう、これだけでSaltさんの世界!

次第にスペインの香りがハーモニーに混じり
そして一気にリズムが繰り出される。

躍動する音のひとつひとつに命が宿っているよう!
それらが一体となってグルーヴを生み出していく。

オーケストラが誘われるように
柔らかなハーモニーを奏でる。
旋法の中で弧を描いていた音楽が、メジャーに転調!
さあ、きた!
「フィエスタ」のメロディーだ。
Saltさんのピアノが爽やかに明るく踊る、踊る。。


豊かなオーケストレーションの素晴らしさ!
カスタネットが刻むリズムはフラメンコ。
情熱的な空気が渦巻くよう。

そしてSaltさんのインプロヴィゼーションのかっこよさ!
繰り広げられるタイトなパフォーマンスに
オケも触発され、パワー全開!
ピアノと一体となってエンディングへとなだれ込んでいく。。





「フィエスタ」はチック本人はもちろん、小曽根さんも演奏していますが
この日の演奏はチックとゲイリー・バートンがオケと共演したライブのバージョンを
Saltさんがさらに編曲したものだそうです。
この曲を掌握して指揮をしたアクセルロッドさんにも拍手を!



アンコールはSaltさんのソロで Life With You 

あたたかな、そして深いSaltさんの曲。
以前、何度もくり返し聴いた 大好きな曲。
心の深いところに寄り添ってくれる
Saltさんならではのアコード。




懐かしい思い出がよみがえり
涙・涙。。



      





























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バビロンの川のほとりに      [コンサートの記憶]

バビロンの川のほとりに(北ドイツの合唱作品を集めて)
              ~日本福音ルーテル東京教会


(出演)

青木洋也/アルト
藤崎美苗・澤江衣里/ソプラノ
中嶋克彦/テノール
加耒 徹/バス

原田 陽・小池香織/ヴァイオリン
小池香織・鬼澤悠歌/ヴィオラ・ダ・ガンバ
角谷朋紀/ヴィオローネ
山縣万里/オルガン


(プログラム)

伝ブクステフーデ:マニフィカト
ブクステフーデ(1637~1707):7つのソナタより 変ロ長調op.1-4
ブクステフーデ:イエス様、わが喜び

ベルンハルト(1628~1692):主よ、今こそ あなたの僕を
プフレーガー(1635~1686):バビロンの川のほとりに
ヴェックマン(1616~1674):主がシオンの捕らわれ人を救ったとき
トゥンダー(1614~1667):主が家を建てないところで


'17Julyバビロン川1.jpg





心の一番深いところに ダイレクトに届く音

まるで光の矢のように
まっすぐに降りてきて

いつしか
透明な水のように
素直になった自分がいる。。

歌声と器楽は
綾織りのように彩り豊か
プログラムは
まるでひと綴りの物語

祈りと平和への思いが交錯した
幸せな時間に感謝。。




'17Julyバビロン川3.JPG


北ドイツのバロック時代、バッハよりひと世代前の作曲家たち。
ブクステフーデ以外は知らない名前だったけれど
どの曲も生き生きとしていて、優しさに満ちた作品ばかり。
この後をバッハが引き継いでいくのだろうという予感。
そして少しだけルネサンスの香りもして
なんだか
淡い初恋のような時間でした。


最初は、付点のリズムに乗って
明るくわきたつような曲から。
合唱と器楽全員での華やかな演奏。

次は器楽だけでソナタ。
可愛らしい音色のオルガンのオスティナート。
ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバは
即興しているように自由に歌う。
そして表情豊かな緩徐楽章とが交互に奏されると
童心に還ったようにワクワクする。

前半の最後は
演奏会形式のオペラを観るよう!
器楽、アリア、そして合唱と場面が転換され
信仰の言葉が紡がれていく。
小編成だからこそ出来る緻密な音楽に
我を忘れて聴き入ってしまう。



'17Julyバビロン川4b.jpg
               (この写真のみweb上からお借りしました)




それにしても、歌手たちの声の心地よさときたら!
ヴィヴラートを廃した歌唱のすばらしさ。
そして、カノンになり、ハーモニーになる時
互いの声質を引き立て合い、
この上なく ふくよかな響きを醸し出す。

そんな美しいベルンハルトの作品。

さあ 次が、この日の白眉!
演奏会のタイトルにもなっている「バビロンの川のほとりに」

下降する旋律が
涙を流すように 切々と語られる。
浮遊する悲しみと
そよぐ風が見えるような合唱曲。
空はどこまでも青く
川面はそれを映して穏やかに流れている。。



「この曲の歌詞は旧約聖書の「詩編」第137編の1-4節が採られている。
これはバビロンの国で捕虜となっているイスラエル人の歌で、
バビロンの川のほとりに座って、失った故郷エルサレムのシオンという丘を思い出して
涙を流しているという嘆きの歌である、
イスラエル人の歌は神にかかわる宗教歌なので、
その神から見捨てられ、捕虜に身を落としているのに
どうして神を賛美する歌を歌える気になるだろうかと語られる」
          (プログラム・ノートより)



そんな、打ちひしがれた物語は
最後の曲で救いの場面をむかえる。

「主がシオンの捕らわれ人をお救いになられたら」

空虚な心が喜びで満たされ
あたたかな腕に抱かれるように
幸せな幕切れとなる。




'17Julyバビロン川2.jpg





歌詞と音楽が見事に融合した作品たちが
語るように奏される。
そんな、豊かで味わい深い時間は
極上の幸福となって
いつまでも
心に
あたたかな余韻を残すのです。。

























Chamber Music            [コンサートの記憶]

ミロスラフ・クルティシェフ(Pf)が室内楽を演奏しました。

(プログラム)
ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番c-moll Op.60
フランク:ピアノ五重奏曲f-moll

(アンコール)
ブラームス:ピアノ五重奏曲 f-moll Op.34第2楽章


*おことわり*私はミロスラフ・クルティシェフのファンなので、
       彼のことだけを書きます。





'17Julyクルティ2.JPG



クルティが弾く室内楽を聴くのは初めて。
YTでも見た記憶がない。

一体どんな演奏になるか、想像もつかなかったけれど
ブラームスの冒頭、ピアノの強烈な一撃から始まり
扇の要としての役割をしっかりと担っていて
本当に嬉しく、誇らしい気持ちでいっぱいに。。


ブラームスらしい重厚な和音と
容赦なく連続する三連符の動き。
クルティシェフの大きい手、強靱な指は
難所を軽々と越え、弦楽をリードする。

ひとたび伴奏にまわれば
深くバスを効かせて
ハーモニーの動きをクリアにし
音楽の方向を指し示す。

そして緩徐楽章のメロディーを奏でる時
彼のピアノが本当に音程感のあるものだと
あらためて思い起こさせてくれる。

また、どんなに速い時も弦楽を聴き
コンタクトをとり続ける。
独奏の時は(あたりまえだけど)前を向いているから
あの大きな目をさらに見開いて
弦楽奏者たちを見るのは新鮮w


以前、クルティの演奏には暗い淵のようなところがあった。
それも 本当に素晴らしい個性だと思っていたけれど
今はそんな暗い部分が減ってきたように思う。

現に、短調の部分の多い曲だというのに
それを忘れさせてくれる味わい。
最後のハ長調の和音に向かって突き進んでいくかのよう!




フランクは弦楽がひとり増え、されに重層的な音楽になる。
どちらかというと、このフランスものの質感が
クルティの音に合っているように思う。

とても激しく、官能的ともいえるフランクの作品。
でもそれが妙に生々しくならないのは
クルティのピアノに宿る神々しい響きのためかもしれない。

絶え間ない流れを
ピアノが次の方向へとイニシアティブを取る。

優しさあふれる モノローグ。

そして
一瞬のブレイクの後
放物線を描き、
まさにジャストのタイミングで降りてくるピアノ!
ああ、本当に
これが聴けて幸せ。。


鳴り止まない拍手にこたえてのアンコール。
ブラームスの優しい、春の昼下がりのような曲。
愁いを忘れて
あたたかな光の中でまどろんでいたい。
いつまでも。。

















'17Julyクルティ.jpg


こちらは会場でゲットしたクルティの新譜です。
去年、録音しているという情報がありましたが
これだったのですね!




そして、嬉しいことが もう一つ。
この日の演奏会がテレビで放映されます!

NHK BSプレミアム
「クラシック倶楽部」
2017年9月29日 午前5:00~5:55


やった、クルティ!
全国放送だよ~~~♪♬♫
























きっと またね         [コンサートの記憶]

フランチェスコ・トリスターノ ピアノ・リサイタル
               ~三鷹市芸術文化センター 風のホール




(プログラム)
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

ギボンズ:ヴァージナルのために書かれた作品より
          パヴァン/エアー/フランス風エアー/イタリア風グラウンド/グラウンド
トリスターノ:Circle Songs(2017)より
          Circle Song3 / All I have/ My old number /Heraklion
ロッシ:3つのトッカータ
          第1番/第2番/第7番
ラモー=トリスターノ:歌劇「カストールとポリュックス」より序曲
トリスターノ:ラ・フランシスカーナ

(アンコール)
デリック・メイ=トリスターノ:ストリングス・オブ・ライフ





'17Julyフランチェスコ三鷹2.jpg

                     (写真はweb上からお借りしました)




ステージの上手から登場したフランチェスコは
ゆったりとした足どりでピアノの後ろを回って鍵盤の前へ進み
いつもように 膝に手を置いて深々とおじぎをする。
真っ直ぐに伸ばした長い足に編み上げのショートブーツ。
細身の身体にフィットした黒いジャケットが良く似合う。


ゴルトベルクは
先日の王子ホールの時よりもタッチが優しく聴こえる。
羽のように柔らかく、春のそよ風のようにあたたかい。

同じ曲なのに
こんなに違って聴こえるなんて!

ホールが変わり、オーディエンスが変わったこと
そして天気や演奏者の体調も影響して
音楽は生き物のように変化する。。


たとえば
今日のゴルトベルクがクリームソーダなら
この間のはかき氷ね。
氷の粒が混じっているくらい粗いかき氷。
食べているうちに頭がキーンとしてくるやつ。

私はかき氷の方が好きだよ、フランチェスコ。




後半はギボンズの作品から。
ヴァージナルは、とてもつつましい楽器で
閉じた空間が似合うはずなのに
フランチェスコがグランドピアノで弾くと
柔らかな抑揚と豊かな響きで
古い時代のイギリスの音楽が饒舌に彩られる。

続くCircle Songsは、先日Hakuju Hallで聴いたのは最初の1曲だけ。
でも、その時と同じく
どの曲もハーモニーが本当に美しい。
そしてテンポが緩やか~中庸で
今までのテクノ的なオリジナル曲とは全く違う。
まるで映画音楽のように
それぞれのシーンが再現されていくよう。。

そして次は17世紀のロッシの作品。
こんなふうに 古い時代と現代を行きつ戻りつしても
不思議なくらい違和感がない。

トッカータは、
リュートなどが調弦をして試し弾きをしているうちに
曲になっていったといういわれがある。
もとはといえば即興。
それがフランチェスコにフィットするのだろう。
ともすれば、とりとめのない演奏に陥りやすい曲なのに
ダンスをリードしてくれるような彼の演奏は
ドライブの仕方も、間のとり方も
ほんとうに小気味よくて、思わず微笑んでしまう。


さらにラモーになると
これはもう踊り出したくなってしまう!
フランチェスコが弾いているのはピアノなのに
オリジナル楽器のオーケストラの にぎやかな演奏が聴こえてくる。

躍動するヴィオラ・ダ・ガンバ。
丁々発止のオーボエ・ダモーレとフラウト・トラベルソ。
バイオリンが歌い、ファゴットが仕掛ける。
ティンパニがリズムを繰り出すと
ダンスは最高潮に!

大きな拍手と歓声の中
間を置かずにオリジナル曲のラ・フランシスカーナが始まる。
即興のイントロの華やかなこと!
続くテクノも超カッコいいグルーヴはそのまま、
もの凄く豪華!!

ああ、どうしよう
これが最後の曲だなんて信じたくない!

そんなセンチメンタルな気持ちを察してくれたのか
アンコールはデリック・メイの曲。
静かに始まったイントロに 一瞬 泣きそうになったけれど
疾走するテクノは
きっと またね
という約束だったよね。











こうしてフランチェスコ・トリスターノのジャパンツアー6公演
(私はそのうちの3公演を聴きました♫)が終わりました。

でもね、今年は11月にまた来日です!
今度はオリジナルのピアノ・コンチェルト(日本初演)ですよ。
ものすごーくカッコイイ曲なので(配信で観ました♫)
ナマで聴けるのが本当に楽しみ~♡































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