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La folle journée au Japon 2017 (2)    [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン 2017

"カルトブランシュ"(Carte blanche)
             ~ホールC


小曽根真(ピアノ)
アレクセイ・ヴォロディン(ピアノ)

(プログラム)
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ 二長調 K.448より第1楽章(Duo)
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズOp.22(ヴォロディンSolo)
ピアソラ:ローラズ・ドリーム(小曽根Solo)
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ 二長調 K.448より第3楽章(Duo)

(アンコール)
レクオーナ:ヒタネリア(Duo)
C Jam Blues (Duo)






かみ合わせに置かれた2台のグランドピアノ。
黒シャツの二人がステージに登場し
アレクセイ・ボロディンさんが左に、小曽根さんが右に座る。

さあ、モーツァルトだ!
は、速いっ!
しかし、なんと気持ちの良いこと。

繋ぎ目のない線路の上を滑るように走っていくみたい。
青空の下、澄み切った空気。
新緑の高原を進んでいく列車に乗れば
どこまでも行けそう!
わくわくと心躍るステキな旅。

それにしても小曽根さんのタッチの軽やかさはどうだ!
スケールの粒が綺麗にそろっていて素晴らしいっ

モーツァルトは、楽譜は簡単そうに見えるけれど
実は、ひとつの隙も与えてくれないくらいシビアだ。
特にスケール(音階)を綺麗に弾くのは
どんなパッセージを弾くより難しい。

クラシックを始めた頃の小曽根さんは、
ほとんどジャズのタッチでモーツァルトを弾いていた。
けれど、クラシックの奏法を身に付けてこんなに美しい音を手に入れたとは、本当に凄い。
それには凄い努力があったはず。
小曽根さんは努力できる天才なんだな。

そして、今回のお相手アレクセイ・ボロディンさんの演奏に触発されたことも間違いない。
二人のスケールの応酬はほんとうに見事!

ところで
「何でも弾けますから~」って感じのアレクセイ。
生粋のクラシックかと思えば、
次々にオカズが入るモーツァルトではないですか。
これは二人が気が合うわけだわ~。



しかし、ソロのショパンはすっごいクセのある演奏で
なんだかショパンに聴こえなかった(←をい

そして小曽根さんのソロはピアソラ。
いつもの毒のようなものが
少し薄まったように感じたのは気のせいでしょうか??


そして再びモーツァルト。
活気に満ちた第3楽章が、二人が弾くとさらに輝きを増す。
端正であることを決して忘れず
生き生きとした表情も
少し愁いのあるフレーズも
お互いの言葉をしっかり受け止めながら会話している。

コーダに入る前、楽譜から離れた即興。
短いやりとりをした時、1度だけ同じアコードを同時に弾いた二人。
その瞬間、小曽根さんが歓喜の声を上げる!

ああ、幸せなモーツァルトに大喝采!




アンコールはキューバの作曲家の曲。
「踊りたい方は、出てきて踊ってください」と小曽根さん。
出て行った人はいなかったけれど、
ものすごくかっこいいダンスミュージックに、みんな椅子の上で踊ってましたよ~♬♪♫

さあ、拍手鳴り止まず!
小曽根さんが話しかけていますが、アレクセイがちょっとシブい顔をしています。
そして、いよいよ弾く時になってもまだ仏頂面。
でも「ソ!ソ、ソ、ソード!」
と弾き始めたら、なんとジャズマンに変身!
うはー!
何でも弾ける人だとは感じてましたが
まさかブルースまで!
それも凄いパフォーマンスでビックリ仰天。

この演奏会のタイトル「カルト・ブランシュ」(白紙委任状)の意味がやっと解りました。
本当に、この二人なら何でもアリなんですね(←尊敬してます




'17MayLFJ4.jpg
               (写真はweb上からお借りしました)













この前日に小曽根さんはオーケストラの演奏会に出演しました。
ラヴェルの「ボレロ」にピアノとトランペットを入れて演奏するというのです。
私はラジオの生中継で聴きました。
トランペットはエリック・ミヤシロさん。


冒頭からずっとスネア・ドラムが刻むリズムにゾクゾク。
ラジオからも緊張感が伝わってくるよう!
同じメロディーを楽器が次々に変わりながら音楽が進んでいき
やがて 少しずつピアノが鳴り出す。

そしてピアノがオンタイムよりも後よりでメロディーを奏でると
エリックさんの即興。なんてキレイな音!
続く小曽根さんの即興はラヴェルにピッタリの音色だ。

オケが厚みを増すとピアノがオンタイムになり
さらにオケを引っ張りはじめる。
華やかなトランペット。
ヒリヒリする高揚感。
そして壮絶なエンディングへ。。




最近読んだ「音楽嗜好症」という本にラヴェルのことが少し書かれていました。

ラヴェルは晩年、精神を患っていました。
ひとつのパターンを繰り返す作曲は、彼が若いころからもありましたが
晩年は、それを展開させることが出来なくなったそうです。
それでも創作の意欲は衰えず、完成させたのが「ボレロ」。
だからこの曲は「繰り返し」で出来ているのです。



「ボレロ」は繰り返しの中で旋回しているようにも感じられます。
この日の、ピアノとトランペットは
それを更に 何か巨大なものへ変身させたのではないでしょうか。
まるで生き物のように
エネルギーを取り込みながら増幅し
大爆発し、宇宙へと昇華した音たち!



こんな凄い演奏の翌日に、全く別のプログラムを平気で弾いてくれる小曽根さんって。。






(LFJはさらに続く)