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Barry Snyder Super Lessons 2017     [語られる音たち]

バリー・スナイダー スーパーレッスン
           ~B-Tech Japan



"How you can create 'magical moments in music?"

どのようにして
聴き手が 「ときめく」
聴き手の「心に届く」音楽を 生み出すことができるか?


東京講演:曲がもつ"Character(キャラクター)"について


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バリー・スナイダー氏は米国イーストマン音楽院の教授です。
かなり前のことになるけれど
小曽根真さんがクラシックを勉強しに行ったのがイーストマン音楽院。
そこで小曽根さんを教えたのがスナイダー先生でした。
その先生が日本に来てマスタークラスをして下さるということを知ったのは10日ほど前。
講義内容の曲目を見ると
なんとっ!その殆どが私のレパートリーではないですか!!
これは、私に「来い」という事ですね!
もちろん、行きますとも!




この日は先生の講義と、1名の方のレッスンを聴講しました。

スナイダー先生は大柄で、アメリカ人らしくフランクで明るい感じの方。
もしかしてピアノをガンガン鳴らす人?という予想は
モーツァルトの最初の1音で 見事に覆されました!

一つ一つの音を大切に、いつくしむように弾かれるピアノ。
とても繊細で優美なモーツァルトに、我を忘れて聴き入りました。

そして、シューマン、ドビュッシー、ラフマニノフ と
それぞれの曲の表現のポイントが語られます。

音の聴き方、和声学、手のフォーム、脱力、ペダル・・

そこには、私が理想とする音楽がありました!

そしてレッスンでは、表現するための必要なテクニックをアドバイス。
先生の楽曲の解釈を押しつけるのではなく、
受講生の解釈を最大限に生かせるようにする、素晴らしいレッスンでした。






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スナイダー先生が最後に弾いて下さったショパンのマズルカ。

その音色は
心の深いところにしみこんで
柔らかい灯りのように
いつまでも
あたたかく照らしてくれることでしょう。。。




















La folle journée au Japon 2017 (3)    [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン 2017

”テレプシコーレ:ルネサンス時代の諸国のバレエ”
                   ~ホールB5

リチェルカール・コンソート
  フィリップ・ピエルロ (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  マティアス・フェレ (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  ライナー・ツィッペルリング (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  リシャール・ミロン (ヴィオローネ)
  エドゥアルド・エグエス (テオルボ&ギター&ビウエラ)
  フランソワ・ゲリエ (チェンバロ&オルガン)


(プログラム)
【イタリア】ゴンザーガ家の宮廷
作者不詳(16世紀):パヴァーヌ「理性の死」
作者不詳(16世紀):エル・トゥ・トゥ _ ジョルジョ _ サルタレッロ

【スペイン】フェリペ2世の宮廷
アントニオ・デ・カベソン:騎士の歌によるディフェレンシアス
アントニオ・デ・カベソン:グローサ付のパヴァーヌ
アロンソ・ムダーラ:牛を見張れ
ディエゴ・オルティス : ロマネスカ

【ドイツ】モーリッツ・フォン・ヘッセンの宮廷
ザムエル・シャイト : 悲しみのパドゥアーナ
ザムエル・シャイト : 悲しみのクーラント
ウィリアム・ブレイド:聖なる山
ウィリアム・ブレイド:サテュロスの踊り

【イギリス】エリザベス1世の宮廷
オーランド・ギボンズ : パヴァーヌ
作者不詳 : ガイヤルド
作者不詳 : 愛のアレマーナ
ジョン・ダウランド:デンマーク王のガイヤルド(戦いのガイヤルド)

【フランス】アンリ4世の宮廷
フランシス・カルーベル(ミヒャエル・プレトリウス編) : イギリス人たちのバレエ
                           : ブルターニュのパスピエ
                           : クーラント (125, 183)
                           : ヴォルト(201)
                           : ブーレ





ルネサンス時代の城の広間に
王侯貴族らが集い、夜会が催される

贅を尽くした料理の品々
酒を酌み交わす華やかな宴

そこで奏でられる音楽は
ときに華やかに
また、愁いをおびて。。



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                 (この写真はweb上からお借りしました)





ベルギーの古楽アンサンブル、リチェルカール・コンソートが奏でる諸国漫遊の旅。
登場した彼らの風貌を見ただけで、もう気分はすっかりルネサンス。

6人のアンサンブルなのにヴィオラ・ダ・ガンバが3台も。
太い倍音で空気が震える。
会場がデッドなので、響きがクリアで心地よい。

ざわざわとしたテクスチャーの手触りのようなイタリアの音楽の後は
スペイン・フェリペ2世の宮廷へ。

フィリップ・ピエルロのビウエラがアンサンブルをぐんぐんと引っ張る。
リュートの独奏が細やかに語りかけた後
陽気なロマネスカで宴は最高潮に!

そして一転、ほの暗いドイツへ。
悲しみの2曲の後のダンス音楽は
ドイツ的なきびきびした楽しさに満ちている。

国が変わると音楽が変わるのはもちろんだけれど
演奏のしかたもガラリと変わる。

ほら、チェンバロが奏でるパヴァーヌは
イギリスのエリザベス1世の時代のもの。
ガイヤルド(舞曲)はどこか凛とした気品がある。

そして舞台はフランスへ。
アンリ4世が自ら踊り手だったという宮廷の音楽は
可愛らしくて、とてもロマンチック。
貴婦人の美しい衣装が目に浮かぶ。。



高い演奏技術とアンサンブルの巧みさに惹き込まれ
あっという間に終わってしまった演奏会!
でも、本当に濃密で愛おしい時間でした。

朝のラジオ番組「古楽の楽しみ」で良く聞く作曲家や曲名。
それが生演奏で繰り広げられる興奮!
喝采はいつまでも鳴り止みませんでした。

実はこのアンサンブルの演奏も前日に中継されたのですが(別プログラム)、
やはり生演奏はそれを何倍も上回るインパクトでした!






演奏と関係ないですケド
ベルギーの人って髪が多いのでしょうか?
結構なお歳と思われる白髪の方もフサフサでした~。
そういう民族なのかしら。それとも食べ物のせい?w
ピエルロのツヤのある栗色の髪もステキでした♡










LFJはこんな素晴らしい出会いがあるので、毎年ほんとうに楽しみです。
また来年、どんな演奏が聴けるでしょうか。。


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La folle journée au Japon 2017 (2)    [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン 2017

"カルトブランシュ"(Carte blanche)
             ~ホールC


小曽根真(ピアノ)
アレクセイ・ヴォロディン(ピアノ)

(プログラム)
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ 二長調 K.448より第1楽章(Duo)
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズOp.22(ヴォロディンSolo)
ピアソラ:ローラズ・ドリーム(小曽根Solo)
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ 二長調 K.448より第3楽章(Duo)

(アンコール)
レクオーナ:ヒタネリア(Duo)
C Jam Blues (Duo)






かみ合わせに置かれた2台のグランドピアノ。
黒シャツの二人がステージに登場し
アレクセイ・ボロディンさんが左に、小曽根さんが右に座る。

さあ、モーツァルトだ!
は、速いっ!
しかし、なんと気持ちの良いこと。

繋ぎ目のない線路の上を滑るように走っていくみたい。
青空の下、澄み切った空気。
新緑の高原を進んでいく列車に乗れば
どこまでも行けそう!
わくわくと心躍るステキな旅。

それにしても小曽根さんのタッチの軽やかさはどうだ!
スケールの粒が綺麗にそろっていて素晴らしいっ

モーツァルトは、楽譜は簡単そうに見えるけれど
実は、ひとつの隙も与えてくれないくらいシビアだ。
特にスケール(音階)を綺麗に弾くのは
どんなパッセージを弾くより難しい。

クラシックを始めた頃の小曽根さんは、
ほとんどジャズのタッチでモーツァルトを弾いていた。
けれど、クラシックの奏法を身に付けてこんなに美しい音を手に入れたとは、本当に凄い。
それには凄い努力があったはず。
小曽根さんは努力できる天才なんだな。

そして、今回のお相手アレクセイ・ボロディンさんの演奏に触発されたことも間違いない。
二人のスケールの応酬はほんとうに見事!

ところで
「何でも弾けますから~」って感じのアレクセイ。
生粋のクラシックかと思えば、
次々にオカズが入るモーツァルトではないですか。
これは二人が気が合うわけだわ~。



しかし、ソロのショパンはすっごいクセのある演奏で
なんだかショパンに聴こえなかった(←をい

そして小曽根さんのソロはピアソラ。
いつもの毒のようなものが
少し薄まったように感じたのは気のせいでしょうか??


そして再びモーツァルト。
活気に満ちた第3楽章が、二人が弾くとさらに輝きを増す。
端正であることを決して忘れず
生き生きとした表情も
少し愁いのあるフレーズも
お互いの言葉をしっかり受け止めながら会話している。

コーダに入る前、楽譜から離れた即興。
短いやりとりをした時、1度だけ同じアコードを同時に弾いた二人。
その瞬間、小曽根さんが歓喜の声を上げる!

ああ、幸せなモーツァルトに大喝采!




アンコールはキューバの作曲家の曲。
「踊りたい方は、出てきて踊ってください」と小曽根さん。
出て行った人はいなかったけれど、
ものすごくかっこいいダンスミュージックに、みんな椅子の上で踊ってましたよ~♬♪♫

さあ、拍手鳴り止まず!
小曽根さんが話しかけていますが、アレクセイがちょっとシブい顔をしています。
そして、いよいよ弾く時になってもまだ仏頂面。
でも「ソ!ソ、ソ、ソード!」
と弾き始めたら、なんとジャズマンに変身!
うはー!
何でも弾ける人だとは感じてましたが
まさかブルースまで!
それも凄いパフォーマンスでビックリ仰天。

この演奏会のタイトル「カルト・ブランシュ」(白紙委任状)の意味がやっと解りました。
本当に、この二人なら何でもアリなんですね(←尊敬してます




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               (写真はweb上からお借りしました)













この前日に小曽根さんはオーケストラの演奏会に出演しました。
ラヴェルの「ボレロ」にピアノとトランペットを入れて演奏するというのです。
私はラジオの生中継で聴きました。
トランペットはエリック・ミヤシロさん。


冒頭からずっとスネア・ドラムが刻むリズムにゾクゾク。
ラジオからも緊張感が伝わってくるよう!
同じメロディーを楽器が次々に変わりながら音楽が進んでいき
やがて 少しずつピアノが鳴り出す。

そしてピアノがオンタイムよりも後よりでメロディーを奏でると
エリックさんの即興。なんてキレイな音!
続く小曽根さんの即興はラヴェルにピッタリの音色だ。

オケが厚みを増すとピアノがオンタイムになり
さらにオケを引っ張りはじめる。
華やかなトランペット。
ヒリヒリする高揚感。
そして壮絶なエンディングへ。。




最近読んだ「音楽嗜好症」という本にラヴェルのことが少し書かれていました。

ラヴェルは晩年、精神を患っていました。
ひとつのパターンを繰り返す作曲は、彼が若いころからもありましたが
晩年は、それを展開させることが出来なくなったそうです。
それでも創作の意欲は衰えず、完成させたのが「ボレロ」。
だからこの曲は「繰り返し」で出来ているのです。



「ボレロ」は繰り返しの中で旋回しているようにも感じられます。
この日の、ピアノとトランペットは
それを更に 何か巨大なものへ変身させたのではないでしょうか。
まるで生き物のように
エネルギーを取り込みながら増幅し
大爆発し、宇宙へと昇華した音たち!



こんな凄い演奏の翌日に、全く別のプログラムを平気で弾いてくれる小曽根さんって。。






(LFJはさらに続く)












La folle journée au Japon 2017 (1)    [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン 2017

ローザンヌ声楽アンサンブル
指揮:ダニエル・ロイス
              ~ホールC

(プログラム)
ブラームス:「2つのモテット op.74」から 何ゆえ悩む者に光が与えられたのか
ブラームス:愛の歌 op.52
ブラームス:運命の歌 op.54



なんて完璧なハーモニーだろう!
自然で無理のない発声が
しっかりしたフォルムを形作る

ひとりひとりは個性豊かで
人に染まることはないのに
声が合わさると
この世のものとは思えない
美しい調和が生まれる。。





ア・カペラと、ピアノ連弾による伴奏のオール・ブラームス。
幸いなことに客席の照明が明るめだったので、
歌詞対訳を読みながら聴くことができました。
歌手たちの表情が大きく変化するので、
歌詞の内容が本当に細やかに伝わってきました。

1曲だけソロの曲があり、
合唱団の中の女性が前に出て歌いましたが
その人以外でも、誰もがソリストになれる力量を持っているのですね。
そういう安定した声と、
お互いを聴き合う耳を持つ人達によって創り上げられる合唱は
天国のブラームスも満足したことでしょう。

なにしろ「これがウケないならロバ呼ばわりされてもいい」
とブラームス本人が言ったという自信作だったのですから!(プログラム・ノートより)






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今年も「ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン」に行きました。
3日間の開催のうち、真ん中の1日だけの4公演。
先行抽選に4公演エントリーしたうちの3公演が当選、
外れた1公演も先行発売で購入できました。

その1公演が「テンベンベ」というメキシコ民俗音楽のグループ。
傾斜のない、平らなフロアに椅子を並べて客席をしつらえたので、
前の人の影になってステージが良く見えません。
その上、座って演奏するものですから なにがなにやら(汗
おかげさまで、途中で何度も意識が遠のきました。
後でわかったことは
全員がどの楽器でも演奏できるので、楽器を取り替えたりしていたらしい。
しかも、音程が変えられる珍しいパーカションもあったそうで
それらを目撃できなかったのは、かなりザンネンなことでした。


しかし、その後の2公演はザンネン感をきれーに払拭してくれたのでした!!

(つづく)