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Matthäus-Passion             [コンサートの記憶]

J. S. バッハ
《マタイ受難曲》 BWV 244
             ~みなとみらい大ホール


指揮:鈴木優人

エヴァンゲリスト:ニコラス・スコット
ソプラノ:松井亜希、藤崎美苗
アルト:ジョン・ミンホ、青木洋也
テノール:谷口洋介
バス:加耒 徹、浦野智行

合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン









響きの美しい大ホール

そこで語られる音楽は

明晰で

しかも 

心の深いところに訴えてくる

これがバッハの宇宙

遠い昔の音楽が

生き生きと よみがえる。。



'17Marchマタイ2.jpg



バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏を優人さんの指揮で聴くのは初めて!
指揮だけではなく、オルガンも!
マタイ受難曲はエヴァンゲリストという物語の進行役がいるのですが
そのレチタティーヴォの通奏低音をチェロとともに担っているのです。

合唱曲、ソリストの歌の時は指揮をしますが
それが終わった瞬間、エヴァンゲリストのためにオルガンを鳴らす。
これは即興で呼吸を合わせていくのですから
本当にすさまじい集中力!

さらに、合唱曲の時はずっと歌っているのですよ。
もう、この曲が身体にしみ込んでいるみたいです。
聞くところによると、子どもの頃 家で毎日マタイ受難曲をかけていたとか。
ご両親に嫌がられても 聴き続けていたという強者ですw

そんな優人さんが創る音楽は
見通しが良いのに、しっかりと情感もこもっている。
それは、おそろしくバランスの良い合唱を聴いてもわかる。
ほんとうに、ダイナミクスの幅がこれほど広いとは。
言葉のニュアンスがすばらしい表現につながっている。

そして、どのソリストも本当に表情豊か。
まるで演奏会形式のオペラを観ているよう!
特に イエス役の加耒徹さん。
弟子に対する気持ち、「人の子」としての死への怖れ、
そんな細やかな心のひだが歌われて 涙がこらえきれず。。

(ホント、なんでバッグからティッシュを出しておかなかったのか、激しく後悔。
だって、客席は水を打ったようにシーーンとしているんですもの。
ちょっとでも音を立てたらタイヘンです~・汗)

エヴァンゲリスト役のニコラス・スコットさんは
去年レザールフロリサンの一員として来日した時に聴きましたが、
その時よりずっと感動しました!
(というのはウィリアム・クリスティーには内緒ねw)

さて管弦楽、第一オケのコンマスはトゥオーモ・スーニさん。
BCJのヨーロッパ公演の時に出演される方だそうですが
超絶な演奏技術に、価値観がひっくり返るくらいの衝撃っ!
なんであんなに細かくアーティキュレーションを付けているのに凄いスピードで弾けるの?!
もうお一人はヴィオラ・ダ・ガンバのエマヌエル・バルサさん。
優人さんと一緒に通奏低音を弾くのですが、ぐっとくる音色でパッキーンと攻められるので陥落w
バロック・チェロとガンバの両方を使い分けていましたが
恐らくガンバって小回りのきく楽器じゃないはずなのに
あれだけエッジの立った演奏が出来るってタダ者じゃない~!





'17Marchマタイ1.JPG


ほんとうにね、こんな席で聴くと
「気」がダイレクトに飛んできます。
もちろん、指揮者の息まで聞こえます。
空中に舞っていた指先が、さっと鍵盤の上に着地する!

そして
カウンターテナーを歌う青木洋也さんと優人さんが
呼吸を合わせ、音を紡いだ瞬間は
ストップモーションになって
記憶のなかに焼き付けられるのです。。























Slovanská epopej            [絵画への旅]

ミュシャ展
      ~国立新美術館



「スラヴ叙事詩」
まさに圧倒的!!
これは観る、というより体感でした。
主役のカリスマ性はもちろん、
脇役たちの魅力的な表情、そして動作に惹き付けられました。
物語の中に身を投じてしまったような興奮!!



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ミュシャが後半生の全てをかけた大作、20点の来日。
チェコ国外で連作すべてが一挙に公開されたのは初めてだそうです。

ミュシャといえば美しい女性のポスター画を思い浮かべます。
パリ万博が開催された1900年頃に一世を風靡した画家。
頂点をきわめていた時に、故国チェコに戻り
「スラヴ叙事詩」の製作に没頭したといいます。

縦横が、それぞれ4~8mという大作ばかり。
チェコのモラビア地方の民族の歴史をたどる作品です。



展覧会場に入ると、壁面すべてが「スラヴ叙事詩」になっている。
もう、これだけで興奮のるつぼ!
ドキドキしながら歩き回ってしまう。

少し落ち着いてきたので、双眼鏡を取り出す。

とにかく「大きい」という事は知っていたので忘れずに持ってきた。
ミラノの「最後の晩餐」も、システィーナ礼拝堂の天井画も
この双眼鏡で観たのだ。

そして、すみずみまで丁寧に描かれていることに
また驚いてしまう。



この展覧会で画期的なのは写真撮影可!!
一部ではあるけれど、日本の企画展では希なこと。

大勢の方がカメラやスマホを作品に向けていた。
私も存分に楽しみましたよ。

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ここで漸く正気になり、作品をもっとしっかり観なくては!
とにかく、この大きさはポストカードでは収まりきらない。
それは、どんな作品でも同じだけれど、
特に「スラヴ叙事詩」は記憶に刷り込んでおきたい!

この連作は、どれも歴史上の一場面。
ひとつひとつの作品に、長尺の劇のような深い物語がある。
その内容を理解するのは容易なことではないけれど
ミュシャの意図に少しでも近づきたいと思った。


ところが、作品が順に並んでいないのですよ!
あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。
もしかしたら、壁の大きさで展示の順が変わってしまったのかも?
私と同じ思いの方が結構いて、皆で人をかき分けながらウロウロw

そうそう、忘れてはいけない
ペン画やスケッチ、そしてあの美しいポスターたちもありました。
小さな紙にささっと描かれたペン画の愛おしさ!
思わず惹き込まれ、ひとつひとつを つぶさに観てしまいます。
そうか、このデッサン能力があるからこそ
あのデフォルメされたポスター画が描けたのだ!


そして、もう一度「スラヴ叙事詩」を。。
というわけで、2時間以上!
ひとつの展覧会の滞在時間、自己最高記録ですね~。




ところで、ミュシャは
スメタナの「わが祖国」を聴いて、「スラヴ叙事詩」を描くことを決意したそうです。
そのため、今回は「わが祖国」がPVなどにも使われています。
でもね、「スラヴ叙事詩」は太古の昔から始まっているでしょう。
連作の中の祭りの場面などを描くとき
ミュシャは故国の民謡などを思い浮かべていたのではないかしら。
たとえば、こんなふうな。。






ミュシャは幼い頃に聖歌隊で歌っていたそうです。
古いオルガンを、引っ越す時も持って行ったといいます。
じっさい、「スラヴ叙事詩」の「ヴィートコフ山の戦いの後」には
オルガンを弾く老人が登場しています。

音楽を愛し、平和を願ったミュシャ。
「スラヴ叙事詩」の全ての絵から
さまざまな歌や楽器の旋律、そして打楽器のリズムが聴こえて来る。。