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皇帝         [コンサートの記憶]

生誕 260 年 モーツァルト・ガラ・コンサート
(再現1783年ウィーン・ブルク劇場公演)
                   ~くすのきホール

【出演】
鈴木優人(指揮)
アンサンブル・ジェネシス(管弦楽)
松井亜希、臼木あい(ソプラノ)
小倉貴久子、鈴木優人、森下唯(フォルテピアノ)



【曲目】
W. A. モーツァルト:
 交響曲第35番 ニ長調「ハフナー」KV 385
 オペラ「イドメネオ」より「今やあなたが私の父」KV 366   (独唱:松井 亜希)
 ピアノ協奏曲第13番 ハ長調 KV 415              (独奏:小倉 貴久子)
 「哀れなわたしよ、ここはどこ…あぁ、わたしではない」KV 369 (独唱:松井 亜希)

 セレナード ニ長調 KV 320「ポストホルン」
 ピアノ協奏曲第5番ニ長調 KV 175               (独奏:森下 唯)
 ロンドニ長調 K 382                     (独奏:森下 唯)
 オペラ「ルーチョ・シッラ」KV 135 から「私はゆく、私は急ぐ」 (独唱:臼木 あい)

 即興による小さなフーガ                    (独奏:鈴木 優人)
 パイジェッロのオペラ「哲学者気取り」の「めでたし、主よ」による
 6つの変奏曲 ヘ長調 KV 398   (独奏:小倉 貴久子)
 グルックのオペラ「思いがけない巡り会い」のアリエッタ
 「人々はうやうやしく」による10の変奏曲 ト長調 KV 455        (独奏:森下 唯)
 「我が憧れの希望よ…あぁ、汝は知らずいかなる苦しみの」KV 416 (独唱:高橋 維)

(アンコール)
 交響曲第35番 ニ長調「ハフナー」KV 385 より 第四楽章



'16Junモーツァルト・ガラ2.JPG


開演ベルはチェンバロの音色。
明るく楽しげに、これから始まる演奏会へといざなう。

調布音楽祭の演奏会場。
ステージは深紅の幕が施され、クリムトが描いたブルク劇場の絵が投影されています。
なんと、劇場ごと1783年にタイムスリ~ップ!

1783年、モーツァルトはウィーンのブルク劇場でコンサートを催しました。
聴衆は一千人。皇帝も臨席したそうです。
大成功を収めた演奏会は開催時間が3時間!
オーケストラの演奏の他、ソリストの独唱・独奏もあるという盛りだくさんな内容でした。

そのコンサートを そのまま再現してしまおう!という
優人さんの企画です~♬
もちろん企画だけではなく、指揮にフォルテピアノの演奏にと大活躍!

さあ、演奏会は交響曲「ハフナー」で華やかに始まりました。
アンサンブル・ジェネシスはオリジナル楽器のオーケストラなので
冒頭のティンパニの乾いた音の鋭い連打で、もうワクワクしてしまう。
管楽器も弦楽器も、モーツァルトが聴いていたに違いない音色。

でも、モーツァルトには申し訳ないけれど
私が聴いている演奏の方が上手だと思うよ♬
なにせ、このオケは1人1人が超絶な上、アンサンブルも激ウマだもの!

(余談ですが、スポーツの記録が次々に更新されていくように
 音楽の演奏技術も年を追うごとに向上しています。
 達者に弾く子ども達が続々と登場し、大人顔負けの演奏をしています。
 演奏が録音可能になった初期の頃の巨匠と言われた人たちの演奏を聴けば
 どんなに変化したかが良く解りますし
 それ以前の時代の演奏は言わずもがな、と思うのです。)



2曲目はソプラノの登場です。
松井亜希さん、バッハ・コレギウム・ジャパンで歌っている時と
ぜんぜん違う!
情感たっぷりに歌い上げていてビックリです~。



続いてのピアノ協奏曲のソリストは小倉貴久子さん。
フォルテピアノならオマカセください。
いつもながらのパリっと小気味よい演奏に加え
本当にのびのびと、楽しそうに弾いていて
音楽ぜんぶが明るい光に満ちたものになっていてステキでした~。
優人さんの指揮するオケに安心して乗っていた感♡




再び松井亜希さんがソリストです。
おお~
何と衣装を替えての登場。
凛とした歌声が劇的な内容にピッタリ!



(ここで1回目の休憩)

'16Junモーツァルト・ガラ1.jpg


「ポストホルン」は木管楽器のみなさんが立って演奏です。
オーボエの三宮さん(きゃーw)、荒井さん
フルートの菅さん、前田さん。
優人さんが解説に
「木管楽器がまるで歌手のように活躍する、オペラのシーンのように美しい緩徐楽章」
と書いていますが
本当に歌詞が聴こえてくるような演奏に、うっとり。。
だから、この楽章が終わった時に拍手が起こったのも頷けます。
続くもう一つの楽章も管楽器が優雅な旋律を奏でます。
まさに至福のモーツァルト時間。


次のピアノ協奏曲のソリストは森下唯さん。
さすがのピアニート公爵、
いつも弾いているピアノと勝手が違うフォルテピアノも
バッチリ弾きこなしていてスゴイ~。
(なにせ、鍵盤の幅が違うし、ペダルは膝で押し上げる方式ですもの!)


二人目のソプラノは臼木あいさん。
黒と金のドレス、お顔が八代亜紀に微妙に似ていらっしゃいますが
声はモチロン全然違いますよ。
表現力がすばらしく、まさに感動的な歌を聴かせてくれました!
ステージ後方に歌詞対訳が投影されるのですが
それを読まなくても意味がわかる(気がする)ってスゴイ。
それは客席のひとりひとりに、ちゃんと歌を届けているから。
なんだか、オペラの全幕を聴いたような満足感♬


(ここで2回目の休憩)


                         (以下の写真はweb上からお借りしました)
'16Junモーツァルト・ガラ5.jpg





第3部は優人さんが1人で登場~。
フォルテピアノで即興演奏です!

実はこの演奏会の様子は、モーツァルトが彼のお父さんに書き送った手紙しか資料がありません。
それによると、ここでモーツァルトが即興演奏をしたのですが
楽譜はもちろん、テーマさえも解らないのです。

優人さんは
「皇帝が臨席していた」ことに注目して
即興による小さなフーガを演奏しました。

あれ?テーマは「皇帝」ですよ。
ハイドンの有名な曲ではありませんか。
この曲は後年に作曲されたものですが、ブルク劇場で初演されたということで
この日のテーマに選ばれたようです。

フーガの即興演奏。
テーマが装飾されたり、調が変化されたりと
次々に表情を変えて現れるのが
とても解りやすく、楽しくて
短いながらも濃い物語を読むようでした。
この曲だけでも、優人さんのソロが聴けて
大満足~♬


続くは、小倉貴久子さんの独奏。
小倉さんの解説に
「皇帝の御前でクレメンティと競演した日を思い起こし(中略)
華麗な技術を皇帝にアピールした作品です」
とありますが、つまりは大変に難しい曲なのに
こんなにのびやかに演奏してしまうなんて、すばらしい~!
沸き立つようなフレーズ、心踊る音楽♬


そして森下唯さんの独奏。
同じ楽器なのに、弾き手によって音色が変わるのは
現代のピアノと同じですね。


プログラムの最後はソプラノとオーケストラによる演奏。
赤いドレスで情熱的な曲を歌い上げた高橋維さんでした。




ドレスといえば、オーケストラの女性の皆さんが
思い思いのカラードレスをお召しだったので、目にも楽しい演奏会でした。
男性は黒蝶タイで揃えていましたが
「時代考証的にはアリエナイけれど、全員のカツラを調達するのは難しいので」(優人さん談)w


3時間という長尺の演奏会。
最後まで意識を保って聴けるか心配でしたが、
あっという間に終わってしまいました!
楽しかったなあ~♬♪♫

そしてアンコールも再現演奏会らしく、モーツァルトが演奏したのと同じ曲。
1曲目の「ハフナー」の第四楽章です。

まるで
魔法の絨毯に乗って
風をきって舞い上がるよう!
見下ろすと
街の屋根、教会の尖塔
そして緑豊かな森
見あげれば
青空にまぶしい太陽。。

音楽は どこまでも自由だ!




'16Junモーツァルト・ガラ3.jpg





そういえば、モーツァルトって「弾き振り」をしたのですよね。。
この日はピアニストが3人出演しましたが
それを全部モーツァルトが1人で弾いたということ?!
コンチェルトもソロも?
それは すごい!












































avec orgue        [コンサートの記憶]

東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ第92回

指揮:鈴木雅明
オルガン:鈴木優人

(プログラム)
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲 K.620
モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」

サン=サーンス:交響曲 第3番 ハ短調 作品78 「オルガン付き」



鈴木雅明さんの手に指揮棒が!

バッハ・コレギウム・ジャパンを指揮する時は持たないので
ちょっと、びっくり。
そうだ、モダン・オーケストラの指揮なんだもの。
と、何故かそわそわしてしまう。

モーツァルト2曲は小さめの編成のオーケストラ。
快速なテンポが心地よい。
ティンパニもトランペットもオリジナル楽器だ。
サウンドが透明で、すがすがしいこと!

そして情熱的な指揮に、オーケストラが俊敏に反応する。
それぞれの声部が本当に良く聴こえてくる。
歌っているというより、饒舌なおしゃべり。
言葉は確かにモーツァルトの時代のものだけれど
語り方はまさに現代の息づかい。
生き生きと繰り出される会話に胸がときめく。

そして圧巻は「ジュピター」のフィナーレ!
フーガの全ての旋律は細いけれど強靱な糸のよう。
それぞれの糸は淡い、さまざまな色をしていて
きらめきながら風に乗る。
それらは 決して絡み合うことなく
大洋を走る船の帆のように
頑強に織り上げられていく。。




'16Jun サンサンス.jpg




後半はオーケストラの編成が大きくなり、管楽器が増える。
ティンパニもモダン楽器に。
オーケストラがステージに集まり始め、オルガン席に優人さんが登場(拍手~
あ、指揮者と一緒に登場しなかったのは協奏曲じゃないからですね。

第1楽章の前半はオーケストラのみの演奏。
そこここに和風な感じの旋律がちりばめられていて
どことなく懐かしさが。

後半、主題が戻って来てオケが静った時
低弦のピチカートに促されて
パイプオルガンの演奏が穏やかに始まる。
まるで大聖堂の祈りの時のような、荘厳な響き。

足鍵盤の低音と柔らかなハーモニーの上で
オーケストラが美しいメロディーを奏でる。
優雅な、でも礼節を持った音楽は
まるで正装した貴婦人。。
そう、モーツァルトよりずっと新しいはずなのに
時代が逆になってしまったかのよう。。



さあ、疾走する第2楽章の始まり!
厚みのあるオーケストラが縦横無尽に駆け巡る。
指揮者、そしてコンマスのエネルギッシュなこと!
全身全霊で音楽を牽引していく。

いちど、潮が引くように静まり
再び始まった単旋律にデジャヴを覚える。
そうか、これは「ジュピター」のフーガのテーマだ。
さらにパイプオルガンが最強音でそれを鳴らす!
私がいる3階席までもが 地鳴りのようにビリビリと震える。
まさに圧倒的!!
オーケストラもトゥッティだ。
しかし、それに勝るオルガンの音量!
ホール全体が巨大な音の坩堝となり
雄壮な結末へとなだれ込んでいく。。

すばらしい幕切れ!
満場の喝采!










公演のチラシに

鈴木雅明&優人、≪親子鷹≫との「オルガン交響曲」

と、ありましたが
まさしく時代の先端を走る二人に相応しいですね。
これからも鋭い鷹の眼で未来を見据え、さらに高く羽ばたいていくことでしょう。
















































Ciacona       [コンサートの記憶]

はるかな空を見あげて

未来へ続く時をさぐる

それは

宇宙へ続く音の道。。






フランチェスコ・トリスターノ ピアノ・リサイタル“チャコーナ”
                        ~風のホール(三鷹)

(プログラム)
フランチェスコ・トリスターノ:Prolegomenon(新作世界初演)
フレスコバルディ:パッサカリアによる100のパルティータ
ブクステフーデ:アリア「ラ・カプリッチョーザ」による32の変奏曲 BuxWV250

ブクステフーデ:チャコーナ BuxWV160
フレスコバルディ:トッカータ集 第2巻よりトッカータ第4番 聖体奉挙のためのトッカータ
                         第9番
                         第8番 不協和音と掛留のトッカータ 
フレスコバルディ:ラ・フォリアに基づくパルティータ
フランチェスコ・トリスターノ:バルセロネータ・トリスト(2007)
               ラスト・デイズ(2007)
               グラウンド・ベース(1997/8 rev.2004/12)

(アンコール)
ディートリヒ・ブクステフーデ:組曲第7番 BuxWV233 より 愛のサラバンド
~フランチェスコ・トリスターノ:ラ・フランシスカーナ






はじめの音は 低いG
その響きの行方をゆっくりと確かめると
鍵盤の上を音たちが転がりはじめる

なんてクリアな音だろう!
水中の小さな気泡が
ガラスになって空中に舞っている。。

やがて低音がリズムを刻み始める
確信を込めて、音楽の行く先を見据える
あくまでもクール
けれど、内に秘めた熱い思いは止められない!

フランチェスコのワールドプレミア。
もちろんカッコイイ曲なのですが、
驚いたのは、その音色に更に磨きがかかったこと!
私の大好きな、硬質でスマートな音が
いっそうの輝きを増し、
色彩が より鮮やかに感じられるようになった。


続けて フレスコバルディ。

300年以上昔の音楽なのに
フランチェスコが弾くと ちっとも古さを感じさせない。
次々に姿を変える短い変奏曲。
繰り返されるベースの上で踊るダンサー。
あるときは哀切をおびて
また あるときはドラマチックな舞いを繰り広げる。。


さあ、ブクステフーデ。
なんと薫り高い演奏でしょう!
陽の光をあびて若葉が萌え出すように
柔らかな風に乗る旋律の ふくよかなこと。
これは
フランチェスコの優しい心、そのもの。

そしてもちろん、
タイトにバシッと決めるところは忘れません。
ドライブ感があるって、ホントにかっこいい。
ただの早弾きじゃなくてね
音楽に乗せて連れて行ってくれるの。

フィナーレはまさにフィエスタ!!



この曲はCDに収録されていますが、
さらに喜びに溢れた素晴らしい音楽が聴けて 大満足♬


'16Mayフランチェスコ、ソロ.jpg
                    (写真はweb上からお借りしました)




休憩の後もブクステフーデとフレスコバルディが続きます。

絹の衣装をまとった登場人物が祈りのための舞いを舞うような
古い時代の音楽なのに
フランチェスコのピアノはあくまでもスタイリッシュ。
輝きは
「今」を生きる、自分たちの時代のもの!


だから、その後にフランチェスコの自作曲が演奏されても
ちっとも違和感がない。
むしろ必然的。

フレスコバルディの音楽からすくい上げたような和音で
バルセロネータ・トリストがはじまる。
時に指でピアノの弦を弾く。
それは街の灯りのよう。。
アンニュイな雰囲気がセクシーな旋律を引き寄せる。
それがリズミカルにダンスのステップを踏む。
スペインの夜はふける。。

そして電子音楽を思わせるラスト・デイズ。
コンピューターで操る音色が
そのままピアノで再現されているかのよう。
テンポとリズムは正確無比だ。

それが ふっと途切れると
鍵盤が強打され、倍音がいっぱいに響く!
ピアノの内部がパーカッションになり
リズミカルに叩かれる。
グラウンド・ベース!
このミニマルな音楽のグルーヴは、もう最高!
その上、スケールが以前よりずっとひろがっている!
まさに宇宙を思わせる壮大な音楽の旅。。




'16Mayフランチェスコ、ソロ2.jpg




今回のソロは、フランチェスコのピアノの音色が多彩になり
響きに厚みが出たことが嬉しい驚きでした♬

最近、コンチェルトを弾く機会が増えたフランチェスコなので
ピアノの弾きかた、音の造り方が変わってきたのだと思います。

これから、どんなピアノを聴かせてくれるのか
ますます楽しみです~☆♡