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Dvorak Hall        [歌にたくして]

J. S. Bach Messe h-Moll

Bach Festival Orchestra and choir
Hiroya Aoki /Japan/conductor

Rudolfinum — Dvorak Hall
Fri 16 Jun 2017 / 7.30pm

ドヴォルザークホール.jpg




Kyrie (キリエ)の「憐れむ」という言葉の中には

そばに居てください

忘れないでください

という意味がある




そして

ロ短調ミサ曲全編に流れているのは

なによりもポジティブな感覚・・・




演奏会の日の朝、指揮者はこんなふうに話してくれた。
以前、Kyrieを練習している時に
どう思って歌っているのか?私たちの声があまりにも悲痛な感じがすると言われた事がある。
対訳に書かれている「憐れむ」は「かわいそう」などではない
何かもっと別の意味があるに違いない。
それから私は様々に調べたり人に聞いたりしたのだが、よく解らないままだった。
いつか聞いてみたいと思いつつ、機会がないまま
とうとう演奏会の日になってしまった。
このまま本番を迎えたくない、と意を決して尋ねた私に
ていねいに応えてくれた。。
それが嬉しくて、熱いものがこみ上げる。
思いを共有できた喜び。

けれど、今はそんな感情に浸っている場合じゃない。

さあ!涙をふいて
「その時」を迎えよう。




ドヴォルザークホール5.jpg


ドヴォルザークホールはプラハの「ルドルフィヌム」の中にある1000人収容の大ホール。
ヨーロッパ最古のホールの一つで、内装が大変に美しく まろやかな響きがする。


ドヴォルザークホール2.jpg


私たち合唱が到着した時には、オーケストラのリハーサルが終わっていた。
そして、私たちも加わって最後のリハーサル。

なんと歌いやすいホールだろう!
それぞれのパートが良く聞こえてくる。
オーケストラの楽器の音もとてもクリアだ。
それなのに、残響音につつまれるような素晴らしい感覚。

指揮者は英語で的確に指示を出していく。
要所を簡潔に。
だから のびのびと演奏できる。
ただし、責任はとても重い。

「指揮を見て!」
それは常に言われてきた。
でも、ずっと指揮を見ていたら客席の方を指さしている!
そうだ
音楽はオーディエンスに届けるのだ!!



リハーサルが終わり、楽屋へ行く。
衣装に着替える。
準備は万端!

その瞬間、急に寂しさが押し寄せる。

長いことかけて準備してきた ロ短調。
楽曲を分析し、お手本を繰り返し聴き、練習を積み重ねてきた日々。
安定した発声を手に入れたくて、あらゆる方法を試みてきた。

そんな 熱い時間が
この本番の後には
もう、ないのだ!
そう思うと胸が締め付けられるよう。


でも、次の瞬間には意識をステージに向ける。
そこにあるのは
J.S.バッハがかいた、珠玉の音楽が演奏されるのを待っている。




ドヴォルザークホール4.jpg





ステージに足を踏み出すと、沢山の拍手が迎えてくれた。
そこには、ほぼ満場のプラハの人々!
あたたかく、私たちが並び終わるまで拍手を続けていてくれた。

バロックピッチのA音が静かに奏される。

スコアを開いた指揮者は
いつものように 祈りを捧げる。


さあ、休憩なし!




ドヴォルザークホール3.jpg




「最初の1音を聴いた時、この演奏会はうまく行くと確信した」
それは、演奏会が終わってから指揮者が語ったこと。
客席で聴いていた方も
「最初の音は この世のものとは思えないような凄い音だった」
と言って下さった。そして
「曲の最後まで、本当に感動的な演奏だった」とも。

それはきっと
演奏者全員が全身全霊で曲の演奏に集中したからだろう。
何か大きな力が私たちの心をピュアにした。
私たちは
微塵の邪心もなく
音楽をすることに全てを捧げていた。。



「同じ曲を演奏しても、ステージごとに違う演奏になる」
これは、プロの演奏家の誰もが異口同音に言っている。

この日、私はそれを身をもって体験した。

世界中から集まった音楽家たちが奏でた
一夜かぎりの音楽。
それは
この美しいホールが
まるで小宇宙になったように
星々の巡りゆくさまを描き出したのだ。


終曲 Dona nobis pacem (我らに平和を与えたまえ)

心からの祈りをもって歌い終わる

ながい残響音が消え
指揮者が手を降ろしても静まりかえった客席。

やがて
静かに拍手が起こり

喝采となる。。。





プラハ城 夜.jpg







それにしても、オケは全員がとても上手かった。
とはいえ前日に初めて合わせたのだから
彼らをまとめた指揮者は本当に凄い。
そして、男声は現地で参加した方が多かったのだが
オソロシク上手で、特に本番のレベルの高さは尋常じゃなかった。
だから「この曲は、こんなふうに出来ていたんだ!」と目からウロコの部分がいっぱい!
しかも歌いやすい!!
しっかりした土台に乗って頑張らずに歌えるって、ホントに快感w

そして、ずっと出来なくて千本ノックで練習した「グロリア」の歌い出しが
本番でバッチリ決まった時は、心の中でガッツポーズ!
今回の杉村さんのトランペット、ものすごくキレイな音色で
リハの時、前奏でそれを聴いて
のけぞって歌えなかったこともあり
本番で上手くいったのはホントに嬉しかった♡

さらに嬉しかったのは
それぞれのパートにはプロのエキストラの方の参加があったけれど
アルトは自力で頑張った!
しかし、一体バランスは取れていたのだろうか??
と、後で指揮者に聞いてみたら
「大丈夫だった」
!!!
やった~♫♪♬




というわけで、旅の話はいずれまた。




























Come agein        [音のしずく]


青白い炎のように

冷酷で真摯な情熱は

未来の「その瞬間」を

かならず最高のものにする



あなたはいつも

そうやって生きてきた

命をかけて







そして今

あなたが創りあげる夢は

天空にかかる月



それに寄り添う惑星は。。











Come again / John Dowland (1562-1625/26)







Come again, sweet love doth now invite
Thy graces that refrain
To do me due delight,
To see, to hear, to touch, to kiss, to die
With thee again in sweetest sympathy





おいで もう一度
今 甘美な愛が
遠くなったあなたの魅力を招いている
私に相応な喜びを与えるために
無上の甘美を共に感じながら
あなたと再び
見つめあい 声を聞き 触れあい 口づけし
ひとつになるために





























Barry Snyder Super Lessons 2017     [語られる音たち]

バリー・スナイダー スーパーレッスン
           ~B-Tech Japan



"How you can create 'magical moments in music?"

どのようにして
聴き手が 「ときめく」
聴き手の「心に届く」音楽を 生み出すことができるか?


東京講演:曲がもつ"Character(キャラクター)"について


'17Mayバリー・スナイダー2.jpg




バリー・スナイダー氏は米国イーストマン音楽院の教授です。
かなり前のことになるけれど
小曽根真さんがクラシックを勉強しに行ったのがイーストマン音楽院。
そこで小曽根さんを教えたのがスナイダー先生でした。
その先生が日本に来てマスタークラスをして下さるということを知ったのは10日ほど前。
講義内容の曲目を見ると
なんとっ!その殆どが私のレパートリーではないですか!!
これは、私に「来い」という事ですね!
もちろん、行きますとも!




この日は先生の講義と、1名の方のレッスンを聴講しました。

スナイダー先生は大柄で、アメリカ人らしくフランクで明るい感じの方。
もしかしてピアノをガンガン鳴らす人?という予想は
モーツァルトの最初の1音で 見事に覆されました!

一つ一つの音を大切に、いつくしむように弾かれるピアノ。
とても繊細で優美なモーツァルトに、我を忘れて聴き入りました。

そして、シューマン、ドビュッシー、ラフマニノフ と
それぞれの曲の表現のポイントが語られます。

音の聴き方、和声学、手のフォーム、脱力、ペダル・・

そこには、私が理想とする音楽がありました!

そしてレッスンでは、表現するための必要なテクニックをアドバイス。
先生の楽曲の解釈を押しつけるのではなく、
受講生の解釈を最大限に生かせるようにする、素晴らしいレッスンでした。






'17Mayバリー・スナイダー3.jpg




スナイダー先生が最後に弾いて下さったショパンのマズルカ。

その音色は
心の深いところにしみこんで
柔らかい灯りのように
いつまでも
あたたかく照らしてくれることでしょう。。。




















La folle journée au Japon 2017 (3)    [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン 2017

”テレプシコーレ:ルネサンス時代の諸国のバレエ”
                   ~ホールB5

リチェルカール・コンソート
  フィリップ・ピエルロ (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  マティアス・フェレ (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  ライナー・ツィッペルリング (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  リシャール・ミロン (ヴィオローネ)
  エドゥアルド・エグエス (テオルボ&ギター&ビウエラ)
  フランソワ・ゲリエ (チェンバロ&オルガン)


(プログラム)
【イタリア】ゴンザーガ家の宮廷
作者不詳(16世紀):パヴァーヌ「理性の死」
作者不詳(16世紀):エル・トゥ・トゥ _ ジョルジョ _ サルタレッロ

【スペイン】フェリペ2世の宮廷
アントニオ・デ・カベソン:騎士の歌によるディフェレンシアス
アントニオ・デ・カベソン:グローサ付のパヴァーヌ
アロンソ・ムダーラ:牛を見張れ
ディエゴ・オルティス : ロマネスカ

【ドイツ】モーリッツ・フォン・ヘッセンの宮廷
ザムエル・シャイト : 悲しみのパドゥアーナ
ザムエル・シャイト : 悲しみのクーラント
ウィリアム・ブレイド:聖なる山
ウィリアム・ブレイド:サテュロスの踊り

【イギリス】エリザベス1世の宮廷
オーランド・ギボンズ : パヴァーヌ
作者不詳 : ガイヤルド
作者不詳 : 愛のアレマーナ
ジョン・ダウランド:デンマーク王のガイヤルド(戦いのガイヤルド)

【フランス】アンリ4世の宮廷
フランシス・カルーベル(ミヒャエル・プレトリウス編) : イギリス人たちのバレエ
                           : ブルターニュのパスピエ
                           : クーラント (125, 183)
                           : ヴォルト(201)
                           : ブーレ





ルネサンス時代の城の広間に
王侯貴族らが集い、夜会が催される

贅を尽くした料理の品々
酒を酌み交わす華やかな宴

そこで奏でられる音楽は
ときに華やかに
また、愁いをおびて。。



'17May LFJ2.jpg

                 (この写真はweb上からお借りしました)





ベルギーの古楽アンサンブル、リチェルカール・コンソートが奏でる諸国漫遊の旅。
登場した彼らの風貌を見ただけで、もう気分はすっかりルネサンス。

6人のアンサンブルなのにヴィオラ・ダ・ガンバが3台も。
太い倍音で空気が震える。
会場がデッドなので、響きがクリアで心地よい。

ざわざわとしたテクスチャーの手触りのようなイタリアの音楽の後は
スペイン・フェリペ2世の宮廷へ。

フィリップ・ピエルロのビウエラがアンサンブルをぐんぐんと引っ張る。
リュートの独奏が細やかに語りかけた後
陽気なロマネスカで宴は最高潮に!

そして一転、ほの暗いドイツへ。
悲しみの2曲の後のダンス音楽は
ドイツ的なきびきびした楽しさに満ちている。

国が変わると音楽が変わるのはもちろんだけれど
演奏のしかたもガラリと変わる。

ほら、チェンバロが奏でるパヴァーヌは
イギリスのエリザベス1世の時代のもの。
ガイヤルド(舞曲)はどこか凛とした気品がある。

そして舞台はフランスへ。
アンリ4世が自ら踊り手だったという宮廷の音楽は
可愛らしくて、とてもロマンチック。
貴婦人の美しい衣装が目に浮かぶ。。



高い演奏技術とアンサンブルの巧みさに惹き込まれ
あっという間に終わってしまった演奏会!
でも、本当に濃密で愛おしい時間でした。

朝のラジオ番組「古楽の楽しみ」で良く聞く作曲家や曲名。
それが生演奏で繰り広げられる興奮!
喝采はいつまでも鳴り止みませんでした。

実はこのアンサンブルの演奏も前日に中継されたのですが(別プログラム)、
やはり生演奏はそれを何倍も上回るインパクトでした!






演奏と関係ないですケド
ベルギーの人って髪が多いのでしょうか?
結構なお歳と思われる白髪の方もフサフサでした~。
そういう民族なのかしら。それとも食べ物のせい?w
ピエルロのツヤのある栗色の髪もステキでした♡










LFJはこんな素晴らしい出会いがあるので、毎年ほんとうに楽しみです。
また来年、どんな演奏が聴けるでしょうか。。


'17May LFJ.jpg






















La folle journée au Japon 2017 (2)    [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン 2017

"カルトブランシュ"(Carte blanche)
             ~ホールC


小曽根真(ピアノ)
アレクセイ・ヴォロディン(ピアノ)

(プログラム)
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ 二長調 K.448より第1楽章(Duo)
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズOp.22(ヴォロディンSolo)
ピアソラ:ローラズ・ドリーム(小曽根Solo)
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ 二長調 K.448より第3楽章(Duo)

(アンコール)
レクオーナ:ヒタネリア(Duo)
C Jam Blues (Duo)






かみ合わせに置かれた2台のグランドピアノ。
黒シャツの二人がステージに登場し
アレクセイ・ボロディンさんが左に、小曽根さんが右に座る。

さあ、モーツァルトだ!
は、速いっ!
しかし、なんと気持ちの良いこと。

繋ぎ目のない線路の上を滑るように走っていくみたい。
青空の下、澄み切った空気。
新緑の高原を進んでいく列車に乗れば
どこまでも行けそう!
わくわくと心躍るステキな旅。

それにしても小曽根さんのタッチの軽やかさはどうだ!
スケールの粒が綺麗にそろっていて素晴らしいっ

モーツァルトは、楽譜は簡単そうに見えるけれど
実は、ひとつの隙も与えてくれないくらいシビアだ。
特にスケール(音階)を綺麗に弾くのは
どんなパッセージを弾くより難しい。

クラシックを始めた頃の小曽根さんは、
ほとんどジャズのタッチでモーツァルトを弾いていた。
けれど、クラシックの奏法を身に付けてこんなに美しい音を手に入れたとは、本当に凄い。
それには凄い努力があったはず。
小曽根さんは努力できる天才なんだな。

そして、今回のお相手アレクセイ・ボロディンさんの演奏に触発されたことも間違いない。
二人のスケールの応酬はほんとうに見事!

ところで
「何でも弾けますから~」って感じのアレクセイ。
生粋のクラシックかと思えば、
次々にオカズが入るモーツァルトではないですか。
これは二人が気が合うわけだわ~。



しかし、ソロのショパンはすっごいクセのある演奏で
なんだかショパンに聴こえなかった(←をい

そして小曽根さんのソロはピアソラ。
いつもの毒のようなものが
少し薄まったように感じたのは気のせいでしょうか??


そして再びモーツァルト。
活気に満ちた第3楽章が、二人が弾くとさらに輝きを増す。
端正であることを決して忘れず
生き生きとした表情も
少し愁いのあるフレーズも
お互いの言葉をしっかり受け止めながら会話している。

コーダに入る前、楽譜から離れた即興。
短いやりとりをした時、1度だけ同じアコードを同時に弾いた二人。
その瞬間、小曽根さんが歓喜の声を上げる!

ああ、幸せなモーツァルトに大喝采!




アンコールはキューバの作曲家の曲。
「踊りたい方は、出てきて踊ってください」と小曽根さん。
出て行った人はいなかったけれど、
ものすごくかっこいいダンスミュージックに、みんな椅子の上で踊ってましたよ~♬♪♫

さあ、拍手鳴り止まず!
小曽根さんが話しかけていますが、アレクセイがちょっとシブい顔をしています。
そして、いよいよ弾く時になってもまだ仏頂面。
でも「ソ!ソ、ソ、ソード!」
と弾き始めたら、なんとジャズマンに変身!
うはー!
何でも弾ける人だとは感じてましたが
まさかブルースまで!
それも凄いパフォーマンスでビックリ仰天。

この演奏会のタイトル「カルト・ブランシュ」(白紙委任状)の意味がやっと解りました。
本当に、この二人なら何でもアリなんですね(←尊敬してます




'17MayLFJ4.jpg
               (写真はweb上からお借りしました)













この前日に小曽根さんはオーケストラの演奏会に出演しました。
ラヴェルの「ボレロ」にピアノとトランペットを入れて演奏するというのです。
私はラジオの生中継で聴きました。
トランペットはエリック・ミヤシロさん。


冒頭からずっとスネア・ドラムが刻むリズムにゾクゾク。
ラジオからも緊張感が伝わってくるよう!
同じメロディーを楽器が次々に変わりながら音楽が進んでいき
やがて 少しずつピアノが鳴り出す。

そしてピアノがオンタイムよりも後よりでメロディーを奏でると
エリックさんの即興。なんてキレイな音!
続く小曽根さんの即興はラヴェルにピッタリの音色だ。

オケが厚みを増すとピアノがオンタイムになり
さらにオケを引っ張りはじめる。
華やかなトランペット。
ヒリヒリする高揚感。
そして壮絶なエンディングへ。。




最近読んだ「音楽嗜好症」という本にラヴェルのことが少し書かれていました。

ラヴェルは晩年、精神を患っていました。
ひとつのパターンを繰り返す作曲は、彼が若いころからもありましたが
晩年は、それを展開させることが出来なくなったそうです。
それでも創作の意欲は衰えず、完成させたのが「ボレロ」。
だからこの曲は「繰り返し」で出来ているのです。



「ボレロ」は繰り返しの中で旋回しているようにも感じられます。
この日の、ピアノとトランペットは
それを更に 何か巨大なものへ変身させたのではないでしょうか。
まるで生き物のように
エネルギーを取り込みながら増幅し
大爆発し、宇宙へと昇華した音たち!



こんな凄い演奏の翌日に、全く別のプログラムを平気で弾いてくれる小曽根さんって。。






(LFJはさらに続く)












La folle journée au Japon 2017 (1)    [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン 2017

ローザンヌ声楽アンサンブル
指揮:ダニエル・ロイス
              ~ホールC

(プログラム)
ブラームス:「2つのモテット op.74」から 何ゆえ悩む者に光が与えられたのか
ブラームス:愛の歌 op.52
ブラームス:運命の歌 op.54



なんて完璧なハーモニーだろう!
自然で無理のない発声が
しっかりしたフォルムを形作る

ひとりひとりは個性豊かで
人に染まることはないのに
声が合わさると
この世のものとは思えない
美しい調和が生まれる。。





ア・カペラと、ピアノ連弾による伴奏のオール・ブラームス。
幸いなことに客席の照明が明るめだったので、
歌詞対訳を読みながら聴くことができました。
歌手たちの表情が大きく変化するので、
歌詞の内容が本当に細やかに伝わってきました。

1曲だけソロの曲があり、
合唱団の中の女性が前に出て歌いましたが
その人以外でも、誰もがソリストになれる力量を持っているのですね。
そういう安定した声と、
お互いを聴き合う耳を持つ人達によって創り上げられる合唱は
天国のブラームスも満足したことでしょう。

なにしろ「これがウケないならロバ呼ばわりされてもいい」
とブラームス本人が言ったという自信作だったのですから!(プログラム・ノートより)






'17MayLFJ3.JPG







今年も「ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン」に行きました。
3日間の開催のうち、真ん中の1日だけの4公演。
先行抽選に4公演エントリーしたうちの3公演が当選、
外れた1公演も先行発売で購入できました。

その1公演が「テンベンベ」というメキシコ民俗音楽のグループ。
傾斜のない、平らなフロアに椅子を並べて客席をしつらえたので、
前の人の影になってステージが良く見えません。
その上、座って演奏するものですから なにがなにやら(汗
おかげさまで、途中で何度も意識が遠のきました。
後でわかったことは
全員がどの楽器でも演奏できるので、楽器を取り替えたりしていたらしい。
しかも、音程が変えられる珍しいパーカションもあったそうで
それらを目撃できなかったのは、かなりザンネンなことでした。


しかし、その後の2公演はザンネン感をきれーに払拭してくれたのでした!!

(つづく)














AVI AVITAL          [コンサートの記憶]


アヴィ・アヴィタル&ヴェニス・バロック・オーケストラ
              ~浜離宮朝日ホール

(プログラム)
ロカテッリ:コンチェルト・グロッソ ハ短調 Op.1-11
ヴィヴァルディ:リュート協奏曲 ニ長調 RV93
エイヴィソン:ドメニコ・スカルラッティのソナタに基づく12の合奏協奏曲より第3番 ニ短調
ヴィヴァルディ:2つのマンドリンのための協奏曲 ト長調 RV532

ロカテッリ:6つの劇場風序曲 Op.4より第4番 ト長調
ヴィヴァルディ:マンドリン協奏曲 ハ長調 RV425
パイジェッロ:マンドリン協奏曲 変ホ長調
ヴィヴァルディ:協奏曲「四季」より"夏"ト短調

(アンコール)
ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲 RV443より 第2楽章
プチミス(ブルガリアの伝承曲)





マンドリンが歌う
それはそれは鮮やかに

なんという色彩感だろう!

撥弦楽器の
瞬間しか鳴らないはずの硬質な音の粒が
ふわっと膨らんだり
すうっと縮んだり
変幻自在に姿を変えて
フレーズを豊かに形作る

ヴェニス・バロック・オーケストラとの
息の合ったアンサンブルとともに
音楽を創り上げていくさまは
本当に見事で
ほとんど異次元の神懸かりのようなパフォーマンス!
じっさい
こんなにクオリティが高い演奏会は
滅多に出会えない!



'17Apriアヴィ.jpg
                    (この写真はweb上からお借りしました)





アヴィ・アヴィタルの存在を知ったのは いつ頃だったでしょう?
ネットで配信される、彼の弾くヴィヴァルディやバッハに夢中になりました。
いつかナマで聴きたい!
その思いが、この日 かないました。

空気をふるわせて伝わってくるマンドリンの倍音。
それは スピーカーを通して聞こえてくるものと
全く違っていました!
類い希な宝石の輝きのような音色は
聴く者の心をつかんで放さない。
身体に抱え込んで演奏する小さな楽器なのに
なんと雄弁に語るのだろう!


アヴィ・アヴィタル、
高度な演奏技術と音楽性を持っているのはもちろんだけれど
発想の豊かさは もの凄いものがある!
だって、マンドリンで演奏するためにかかれた曲ではないのに
彼が弾くと最初からマンドリンの曲だと納得してしまうくらい。

ヴェニス・バロック・オーケストラは様々なソリストと共演してきたから、
ヴィヴァルディの「四季」なんて何百回も演奏したことだろう。
でも、恐らくアヴィ・アヴィタルとの演奏は
彼らにとって新鮮で喜びに満ちたものに違いない。
ソリストのインスピレーションの発露をしっかりフォローするアンサンブルは
本当に見事!!




そしてアンコールの2曲目。
アヴィ・アヴィタルのソロ!!

何かの旋法の曲かと思ったら、ブルガリアの伝承曲をもとにした即興演奏。
暗い夜空、岩山の上で孤高の人が静かに奏でる民謡。
しだいに熱を帯び、激しいダンスが繰り広げられる。
まるで憑依したような踊り!
なんというグルーヴ!

まさに圧巻の幕切れ。。


'17Aprilアヴィ2.png





アヴィ・アヴィタルの演奏は
本当に大きな包容力に溢れていて
彼の豊かな人間性を感じさせてくれました。

サイン会では立ったまま、にこやかに
ひとりひとりに丁寧に挨拶していました。
その温かさは、握手した時の彼の大きな柔らかい手からも伝わってきました。







さて、時を同じくして
私の大好きなヴァイオリニスト、ダニエル・ホープが来日していました。
演奏を聴きたいのはモチロンでしたが、今回はコンチェルトなので行かないことにしたのです。
だって、コンチェルトって1曲だけなんですよ。(あたりまえだ!
もし聴きに行ったら「もっと聴きたい!!」って悲しくなるに違いない。
だから行かなかった。(へそまがり
でもね、ラジオの生中継があったのです!(アヴィ・アヴィタルの次の日でした)
うう~、ステキだったよう~(泣いている
そして!
アンコールが、ラヴィ・シャンカル(インドのシター奏者)の曲を元にした即興だったのです。
うわあっ!
ふたりの演奏がそっくりっ!!
民謡の要素のある曲のインプロヴィゼーション。
まるで示し合わせたようではないですか。

実は、ふたりは仲良しなんですよ~。
というのを知ったのは、この前日だったのですが
ふたりでお寿司を前に肩を組んでいる写真がSNSに投稿されてました~w
ああ、いつか二人の共演を聴いてみたいっ!


































バッハにまつわる作曲家たち     [コンサートの記憶]

【浜離宮ランチタイムコンサートvol.159】
鈴木優人 チェンバロ・リサイタル~バッハにまつわる作曲家たち~

(プログラム)
フローベルガー:トッカータ ニ調
L.クープラン:組曲 ニ短調(プレリュード・アルマンド・クーラント・サラバンド・
             カナリア・パストゥレル・シャコンヌ)
F.クープラン:第6組曲(第1曲:仮装をする人々 第2曲:心地よい恋やつれ 
            第3曲:さえずり 第4曲:ベルサン 第5曲:神秘的なバリケード             第6曲:牧歌(ロンド-) 第7曲:おしゃべりな 第8曲:羽虫)

スウェーリンク:半音階的幻想曲 ニ短調
D.スカルラッティ:ソナタ ヘ短調 K.555
ヘンデル:ハープシコード組曲第5番 ホ長調 HWV.430 より「調子の良い鍛冶屋」
C.P.E.バッハ:プロイセン・ソナタ第2番 変ロ長調

(アンコール)
フローベルガー:トッカータ イ短調




空気の中に漂っている音を 
ふわりと掴んだように
旋律がやわらかく動き出す

トッカータ・・
リュートなどを調弦し 試し弾きをするニュアンス
たゆたっていたものが
やがて音楽となっていく
悲しみをつのらせるように降りていく半音階。。



こうして演奏会はフローベルガーから始まりました。
J.S.バッハを1曲も演奏しない、「バッハにまつわる作曲家たち」という演奏会です。

次は「プレリュード・ノン・ムジュレ」
って、なんだかスイーツのようで美味しそう!
2月のお菓子付きコンサトの続きかしら~?(全然ちがいますっ!

ノン・ムジュレは「小節線がない」のです!
音符が並んでいるだけの譜面を、演奏者のインスピレーションで自由に表現するのです。
優人さんの演奏は、とても見通しが良くて
どこまでも軽やかに歩いていけそうな清々しさ。
それに続く組曲。
時に、この世か彼岸か区別がつかなくなる。
現代の感覚からは、とても遠いところにある音の並びを
優人さんは いとも たやすく弾いてのける。。

そして その作品をかいたルイ・クープランの甥、フランソワ・クープラン。
クープラン一族の栄華と繁栄。
そんな、フランスの艶やかな音色をチェンバロが奏でる。
まるで典雅な館に招かれたよう。。
ルイよりフランソワの作品の方が断然わかりやすい!
題名がついているせい?
それもあるけれど、確実に時代が変わったことを感じる。
これぞバロック!



後半は再び時代が遡り、オランダのスウェーリンク。
これはバッハのフーガですよ、と言われても信じてしまいそう。
クロマチックの下降。
歌い出す先行唱を追いかける後続唱。
優人さんがフーガを弾くと
遁走するテーマをどこまでも追いかけてゆける!

ここで、優人さんの楽曲解説。
理知的なお話しぶりを聞いていると、朝のラジオの時間みたいですねw

ドミニコ・スカルラッティとヘンデルはバッハと同い年。
一体その年に何があったのでしょう?と思ってしまうほど、作曲家の豊作年。
きっと星の巡りがそうさせたに違いない。

スカルラッティは555曲も「ソナタ」をかきましたが
「きりの良いところで555番を演奏します。」と優人さん。
(実は選ぶのが大変だったw というか555曲も聴いてられないし)

ヘンデルの曲は組曲の中の有名な1曲を「いいとこ取り」で。

こうしてJ.S.バッハに近づいた!と見せかけて
プログラム最後はバッハの次男の作品です。

それにしても後半は前半の柔らかなタッチとまるで違う。
もちろん、アーティキュレーションも!

イタリアからスペインへ渡ったスカルラッティと
ドイツからイギリスへ活躍の場をもとめたヘンデル。
それぞれの曲の個性がはっきりと弾き分けられる。
それはもう、見事に!

そしてカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの作品は
古典派の時代の到来を告げている。
父のヨハン・セバスチヤンの時代、バロックが終わったことを。




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さあ、本当にJ.S.バッハの作品は演奏されませんでした!

それなのに何故かとても近しく感じるのです。
まるでJ.S.バッハが ずっと見守ってくれたような
そんな親しみ。

それぞれの作品に隠れたバッハのエッセンスは
時代や国が違っても 通ずるものがあるのでしょう。


アンコールに奏されたフローベルガー。
それは とてもルネサンスに近くて
音楽の起源を思い起こさせる。

時を越えた旅のおわり。。

















































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